親子で楽しむ歌舞伎教室
2010年国立劇場/親子で楽しむ歌舞伎教室
河竹登志夫監修「解説 歌舞伎のみかた」
- 出演:中村壱太郎、中村隼人
「身替座禅」(1910)
国立劇場に歌舞伎鑑賞教室『身替座禅』を観に行った。今日は「親子で楽しむ」日で会場は親子連れで八割の入り。私は小4の娘と一緒に行った。娘はこれが初歌舞伎となる。「親子で楽しむ日」には通常配られるパンフレットに加え、イラストの入った話紹介が付く。イラストを描いているのは立入晴子さんというイラストレーターだが、このイラストがとても可愛らしい。
プログラムは一九歳の中村壱太郎と一六歳の中村隼人という若いコンビによる歌舞伎教室と『身替座禅』の二本立てだった。『身替座禅』は中村錦之介が右京、坂東彦三郎が玉の井、太郎冠者が坂東亀三郎。
最初は壱太郎、隼人という初々しくハンサムな若手二人による歌舞伎紹介。映像なども上手に使って、セリや回り舞台などの舞台装置や裏方の音楽、歌舞伎の歴史、女形、化粧の仕方などを説明していた。いつもは前半に解説、後半に演目があって終わりなのだが、今日は『身替座禅』の後、また二人が登場し、演目や松場目物の解説、「棒しばり」の実演などもある盛りだくさんな内容だった。演出にいろいろな趣向が盛り込まれていて教育プログラムとしてよくできていたと思う。二人の若い役者は美丈夫だし、丁寧にわかりやすい説明しようという意志が感じられた。二人の歌舞伎への愛着の感じられるプレゼンテーションだった。
本編の『身替座禅』も非常に面白かった。錦之介が演じる右京の浮かれかたと恐妻ぶり、妻を演じた彦三郎の怒りの表情、舞踊を効果的に交えた展開の巧みさ、たわいのないファルスではあるけれど、歌舞伎の大らかな笑いを豊かな表現のバリエーションなかで楽しむことができる舞台だった。観客もよく反応していた。不倫を題材とする喜劇なので「親子で楽しむ」歌舞伎教室の演目としてはあまりふさわしくなかったかもしれないが。
「歌舞伎の見方」の説明でも女形の説明の前段階として女歌舞伎や若衆歌舞伎に言及していたがこれもけっこうきわどいところがある。
今日は親子デーだったので二人で一等席が二人で3000円という格安の値段だった。申し込みが遅れて席が後ろのほうだったのがちょっと残念だったが。娘にとっては初歌舞伎だったので、できれば前方、花道のそばの座席で見せてあげたかったのだけど。