閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

パリでスペクタクルを楽しむために:チケット予約と引き取り

音楽、演劇、オペラなどの愛好家なら、スペクタクル鑑賞を海外旅行の旅程のなかに組み入れたいと考えるはずだ。またスペクタクル鑑賞を主目的とする旅行に出かける人は多いだろう。ヨーロッパの本場の劇場、芸術祭の熱気のなかで味わうスペクタクルがもたらす興趣には格別なものがあり、旅の思い出をより印象的なものにしてくれるはずだ。

私はこの三月にパリに十日間滞在し、滞在中に芝居やオペラなどパリの様々な劇場で9つのスペクタクルを鑑賞した(予約した演目は10演目だったが体調不良で一演目見られなかった)。ここでは私がどこでどのようにチケットを予約し、受け取ったのか紹介しておこうと思う。もしパリ旅行を計画している人の参考になれば幸いだ。

最近はネットでの予約の発達で旅行前に日本からチケットを予約することが以前よりだいぶ簡単になっている。おそらくもっと効率がよく、安上がりのチケットの入手法はあると思う。また下の記述に勘違いや間違いがあるかもしれない。補足情報や誤記などを指摘して頂ければありがたい。なおここで紹介しているチケット予約システムは現在では変更されている可能性もあることに注意して頂きたい。

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【公演を探す】
目当ての劇場や団体がある場合は、公演情報を知るためにはとりあえずその劇場なり団体のウェブページを参照するだろう。私の場合、以下のページをまず参照した。たいてい英語のページも用意されている。チケットの予約もほとんどの場合、ウェブページから可能だ。

私立の小さな劇場の公演などはいちいちウェブページで探すのは大変だ。日本のpiaやe+のような総合チケット販売サイト、スペクタクル情報サイトなどをのぞけば公演情報を効率よく集めることができる。場合によって劇場・劇団からチケットを購入するより、総合チケット販売サイトを通して購入したほうが値段が安い場合もある。代表的なものを下に紹介しておく。

  • FNACスペクタクル http://www.fnacspectacles.com/ (フランスの総合メディアショップの大型チェーン、FNACのチケット販売サイト。音楽、演劇、スポーツなどあらゆるジャンルの興行のチケットを扱う。会員になると一部公演に割引あり)
  • テアトル・オンライン・コム http://www.theatreonline.com/ (フランス全土の演劇公演チケットを購入できる。会員になれば一部公演に割引有り)。
  • プルミエール/パリスコープ スペクタクル情報 http://spectacles.premiere.fr/pariscope/Theatre (フランス全土のスペクタクルの情報。チケット購入も可能)
  • エヴェヌ http://www.evene.fr/ (文化的催しの情報サイト)

【オペラ/バレエをオペラ座で見たい】
以下は個別にどのようにして実際私がチケットを手に入れたかについて記したい。まずオペラ座のチケットである。パリに何日か滞在するのであればできることならガルニエ宮でオペラないしバレエを見ておきたいものだ。私もオペラの公演日程に合わせて滞在期間を決めたのだけれど、オペラ座の安いチケットを購入するのはやっぱりかなり大変なことだった。オペラ座公演のチケットは上記のオペラ座のウェブページで購入できる。演目毎の発売日は以下のページに記載されている。おおむね初日の三ヶ月前ぐらいに設定されているようだ。
http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/pratique/Reserver/Reserver_saison1011/Ouverture_des_reservations_copy1_copy1.php?&lang=fr
ガルニエ宮の場合、座席は通常7カテゴリーに分類されている。ウェブページから予約するには会員登録して観客番号を持つ必要がある。この会員登録は無料だ。座席の価格は10ユーロから180ユーロで演目により異なる。座席別料金表は以下のページで参照できる。
http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/pratique/Reserver/Reserver_saison1011/prix_et_plans_copy1_copy1.php?lang=fr

7カテゴリのうち最安の5-6カテゴリの席は窓口でしか販売されないのでネットで購入することはできない。とはいうものガルニエ宮は馬蹄形の舞台構造ゆえこのカテゴリの席種だと(バルコニー席の2、3列目が多い)だと舞台がほとんど見えないことがある。せっかくパリに行ってガルニエ宮で公演を観る機会を得たのに、音だけしか聞こえないのではつまらない。
結局はネットで購入可能な第4カテゴリあたりより上のグレードの座席を選んだほうが無難だと思う。第4カテゴリだと45ユーロぐらいから。このカテゴリだとかなり高い位置からのぞき込むことになるが5階ボックス席、いわゆる天井桟敷席正面がお勧めだ。しかし安めの席はあっという間になくなってしまうので、時差を考慮して発売開始時間にアクセスしてさっさとチケットを購入する必要がある。私はフィリップ・フェヌロンという現代作曲家の《ファウスト》の初日のチケットを狙っていた。マイナーな作品なので簡単にチケットを入手できると思っていたのだが甘かった。予約開始日にサイトにアクセスしたのだが時既に遅く、見に行ける日のチケットは完売。結局渡仏前にチケットを入手することはできなかった。最悪の場合、劇場前に開演前何人かいるはずのダフ屋から買おうかと思ったのだが、キャンセルがけっこう出るようで、パリ滞在中にオペラ座のサイトを覗いていたところ、公演4日前に戻りのチケットが出た。早速予約。チケットは公演当日、開演45分前に劇場窓口で名前を言えば渡してくれる。予約日から公演開始日までに2週間以上期間があればチケットは自宅に郵送されるようだ。
今回のフランス旅行では、コメディ・フランセーズ、コリン劇場で同じく劇場サイトで予約した。チケット引き取りはいずれも劇場窓口で、開演30分前より。一応チケット購入の明細書をプリントアウトして持って行ったが、名前を言えばチケットが渡される。

バスティーユ劇場の場合、座席の値段は10カテゴリに分類され、最安の立ち見席はたった5ユーロだ。立ち見席は当日のみで、開園の90分前から売り出される。また第7-8カテゴリの安い席は窓口でしか購入できない。バスティーユでは舞台がまったく見えない席はない。距離は遠くなるが安い席からでもおおむね舞台は見渡すことができたはずだ。注意しなくてはならないのは上の座席表で黒の斜め斜線が引かれている一階席、二階席後方の一部の座席からは字幕が見えないことがあることだ。バスティーユの字幕は舞台正面のかなり高い位置に表示されるのだ。字幕が出るのは非フランス語のオペラだが、フランス語が読める人の場合、字幕が見えないのはかなりのストレスになるはずだ。

各公演で売り出されるプログラムは15ユーロほど。内容は非常に充実している。フランス語の読める人は記念に買っておくとよいと思う。

【FNACでチケットを予約する】
予約はウェブサイトの指示に従って行えばよいだけ。FNACの会員になれば割引になる公演があるが会員登録は有料だ。チケット引き取り方法はパリにたくさんあるFNACの店舗のチケットカウンターに行き、チケット購入に際して使ったクレジット・カードを差し出せばよい。身分証を求められたこともあったが。すぐにチケットが引き出される。店舗の営業時間に注意する必要がある。日曜は休みのところが多いはず。

【テアトル・オンラインでチケットを予約する】
予約方法はウェブの画面の指示に従えばよい。会員登録すれば安くなる公演があるが登録は有料だ。チケットの引き取りは劇場で公演30分前に窓口に行き、名前を伝えればよい。一応チケット購入の明細書をプリントアウトして持って行くとよいだろう。

【オデオン劇場の当日券】
オデオンで見たかった公演は全公演満席で予約することができなかった。開演2時間前から当日券が劇場で発売される。公演によると思うが私が観に行ったユペール主演の『トラムウェイ』のときは当日券を求める行列はなかった。あいにく椅子席は満席で立ち見席となった。立ち見席は上階(3階ぐらいだったと思う)の横側のバルコニー席の後ろだった。舞台に死角はできるが舞台の2/3は見ることができる。また立ち見と言っても腰ぐらいの高さの長い腰掛けにお尻を乗せての観劇なのでそれほどしんどくない。値段は5ユーロだった。パリの劇場のいいところは開演直前になると空席に移動するのがマナー違反でないところだ。むしろ客入れ係が積極的に観客を空席に移動させる。私は立ち見席だったが空席があったので開演直後はそこに移動して座ってみることができた。

【客席案内係へのチップ】
パリの劇場の客席配置はわかりにくいことが多い。客席配置図もない場合が多い。客席案内係へのチップは義務的なものではないようだが私立の劇場では渡している人が多かった。私も2ユーロ貨を案内されたあとに渡した。チップを渡さなくても文句は言われないとは思うが、渡せば当然のように受け取る。にこっと笑顔で受け取って貰うとこちらも何かほっとする。
国立の劇場では私立の劇場ほどチップを渡す人は多くないようだ。ただしオペラ・ガルニエなど案内なしでは客席にたどり着くことが困難な劇場もある。かつてはオペラ座では露骨にチップを要求されたが(渡した額が少ないと「もっとくれ」と言われたこともあった)、現在は向こうからチップを要求されることはない。迷ったけれど私はオペラ座では2ユーロ貨幣を渡した(ように思う)。確かコメディ・フランセーズ劇場の案内人には、渡そうとしたら「必要ない」と言われたように記憶しているのだがちょっとあやふやだ。シャイヨー、コリン、オデオンでは渡さなかったはずだ。