- 上映時間:127分
- 初公開年月:2010/08/21
- 監督:原恵一
- アニメーション制作:アセンション
- 原作:森絵都
- 脚本:丸尾みほ
- キャラクターデザイン:山形厚史
- 作画監督:佐藤雅弘
- 音楽: 大谷幸
- エンディングテーマ:miwa『青空』
- 声の出演:冨澤風斗、宮崎あおい、南明奈、まいける、入江甚儀、藤原啓治、中尾明慶、麻生久美子、高橋克実
- 映画館:東武練馬 ワーナーマイカル板橋
- 評価:☆☆☆☆★
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「ぼく」はある大きな罪を犯し、一度死んでしまった。しかし死後の世界の抽選にあたり、ある少年の身体に入り込んで再生することになった。再生している間に自分の犯した罪を思い出せば、「ぼく」の魂は救われると言う。自殺したばかりの少年の身体に入り込んだ「ぼく」は、少年の家族の欺瞞的な雰囲気、とりわけ少年の自殺の一因となった母親の不倫という事実を許すことができず、反発的な態度を取る。学校での「ぼく」は周りから浮いた存在だ。クラスの同級生から感じる微妙な空気、孤立感。しかし二人の少女が「ぼく」と積極的な関わりを持つ。そのうちの一人に「ぼく」は淡い恋心を抱いていたのだが、彼女が中年男相手に売春している事実に深く傷つく。
生まれ変わった現世のなかの「ぼく」の状態はとても頼りなく不安定だ。自分の犯した罪が何であるかの手がかりもつかめない。回答を見つけ出す期限が迫ってきた頃、「ぼく」は友人を見つける。友人との交流が進むにつれ、僕はようやくあることに気づくのだ。そして急に世界が開ける。
幼い偽悪とひねくれた心情を抱えたまま主人公の日常は過ぎる。彼と彼の周りの世界は劇的に変化していくわけではない。そのままの厭世的でシニカルな世界観をひきずりつつ最後のほうまで話は展開する。人は徐々に同じペースで成長し続けるわけではなく、何回か停滞の期間を繰り返し、その停滞を忍従していると突然一段階上に上ることができるようになるのではないだろうか。自分のことしか考えられない思春期の人間が、ちょっとしたきっかけで自分を含む周りの人間の思いも受けとめられるようになる。そして自分と他者の共有する世界を受け入れることができるようになる。こうした成長の瞬間をこの作品は繊細に丁寧に描き出している。