閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

国立劇場九月文楽公演 第一部

公演情報 詳細|日本芸術文化振興会|

  • 良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)

    志賀の里の段
    桜宮物狂いの段
    東大寺の段
    二月堂の段

    • 評価:☆☆☆★
  • 鰯売恋曳網(いわしうりこいのひきあみ)

    五条橋の段
    五条東洞院の段

三島由紀夫の「鰯売恋曳網」を見たくてチケットを買った。もともとは歌舞伎作品で最近勘三郎と玉三郎が演じている。残念ながらこの舞台を私は見ていないのだ。文楽版は二幕で80分ほど。遊女に一目惚れした鰯売が大名のふりをして遊郭にあがる。しかしその遊女は実は鰯売の故郷のお城のお姫様だった。姫は鰯売の呼び声に聞き惚れてその鰯売に恋をしていたのであった。大胆な設定と展開、大らかなユーモアにこちらも幸福な気分になる。素朴なばかばかしさが心地よい。「伊勢の国に阿漕が浦の猿源氏が鰯かうえい」近代以前のお芝居の自由さまでを再現した優れた擬古典。

「良弁杉由来」は4段での上演。大鷲に幼子を奪われた母が30年後に立派な僧正となった我が子と再会するだけの話だけれど、これを二時間以上かけてじっくりと語る。再会する場が延々と長く、くどい。昼食後だったこともあり最後の段だけは後半夢うつつになってしまった。