閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

二十四時間の情事 HIROSHIMA, MON AMOUR (1959)

二十四時間の情事 [DVD]

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銅版画を思わせるモノクロの映像の美しさが非常に印象的な作品だった。映像に重ねられる音楽の響きもいい。台詞の繰り返しが歌曲のリフレインのように詩的に響く。映画の撮影でヒロシマにやってきた女優がそこで出会った見知らぬ日本人男性と一日限りの恋に落ちる。互いに既婚、刹那の不倫愛である。女がこの二十四時間の恋の向こう側に想起するものは示される。彼との情事の過程で彼女は十数年前、故郷のヌヴェールでのドイツ人兵士との痛ましい恋愛の思い出を思い出す。しかし男が女に惹かれる理由はわからない。彼は女の妄想を映し出すための偶像に過ぎないように思える。女がヒロシマで見た幻影がシャープな映像美、詩的なことばの自由でしなやかな連なりによって構成されたかのような映画だった。