閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

カラムとセフィの物語

文学座
 文学座 アトリエ60 TOP

  • 原作:マロリー・ブラックマン
  • 脚色:ドミニク・クック
  • 訳:中山夏織
  • 演出:郄瀬久男
  • 美術:乘峯雅寛
  • 照明:中山奈美
  • 音楽・演奏:芳垣安洋、高良久美子
  • 音響効果:栗原亜衣
  • 衣裳:山下和美
  • 出演:山本郁子、山崎美貴、鬼頭典子、添田園子、渋谷はるか、鈴木亜希子、下池沙知、千田美智子、大滝 寛、押切英希、沢田冬樹、鈴木弘秋、林田一高、亀田佳明、上川路啓志、柳橋朋典、藤側宏大
  • 劇場:信濃町 文学座アトリエ
  • 評価:☆☆☆☆★
                          • -

演出の様々な工夫が楽しくかっこいい舞台。音楽は二人の奏者によるマリンバ、ビブラフォンの生演奏だが、シンプルな美術との相乗効果で、場の展開に繊細な奥行きを与える。シンプルであるがゆえに美術は自在に場の変化に対応し、物語の寓話性もあり、あたかも仕掛け絵本みたいを読んでいるような感覚で劇行為がテンポ良く進展していった。主演の渋谷はるかの表現力が素晴らしい。細部まで神経の行き届いた完成度の高い舞台だった。黒人が支配階級にあり、白人を差別する社会における『ロミオとジュリエット』風の物語。人種差別の不条理と恋の切なさを洗練された寓意で描く秀作。思春期の子供にも観て欲しい作品だと思う。