閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校

ロロVol.4.5

  • 脚本・演出:三浦直之
  • 照明:板谷悠希子
  • 音響:池田野歩
  • 出演:亀島一徳 篠崎大悟 望月綾乃 北川麗 小橋れな 崎浜純 多賀麻美 三浦直之
  • 上演時間:70分
  • 劇場:新宿歌舞伎町 新宿眼科画廊
  • 評価:☆☆☆☆

ロロ top

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ロロを見るのは8月の王子小劇場に続きこれが二回目。
歌舞伎町にある新宿眼科画廊での公演。横長の狭い部屋で客席は二列で30席ほど。開演15分ほど前に到着していたので椅子席に座ることができた。
8月に見た公演は青春まっただ中といった感じの若い男女の切ない甘酸っぱい恋の物語を、断片的な場面に分解しコラージュ風に自由に構成したものだった。今回は小学6年生の初恋の物語である。しかし6年生を演じる役者たちのふるまいは小学生ぽくはない。20代の若者が小学生時代を記憶を掘り起こして、20代の若者としての意識を持ちつつその頃の恋のありかたを再現しようとしているような感じだ。今と過去がごちゃごちゃに混じり合っている。舞台上で再現されているのは今の時点から思い出された理想化された過去の恋なのか。

いくつかの場面のユニークな表現のアイデアに感心しながら観た。不条理な語りを延々と続けるギャグとか。軽やかで洒脱で、スマートな芝居だ。
そして女優が可愛い。望月綾乃、北川麗、多賀麻美の三人はいずれもオシャレでそれぞれがヒロインを演じることのできる可愛らしさ。キュートな彼女たちを見ているだけで心が浮き立つ。今回の芝居ではギターを弾き、自作の歌を歌う少年が出てきたが、彼の歌う歌(自作?)もとてもいい。

でも物語は弱く、ジュヴナイル小説的な恋愛話の類型のなかにあるように思った。鮮やかな技巧とセンスのいい装飾性が強調されすぎの感じもあり。もしかするとロロにとってはいかにかっこよく表現するかが最重要であり、「表現内容」は類型的でもかまわないのかもしれない。でも20代の若者が過去を回顧する話なんてあまりに保守的な感じがする。少なくとも私が演劇に期待し、このようなユニークな表現を持つ才能に求めたい世界ではない。

とは言うもの、今日の芝居の強引だが怒涛のラストには「やられた」という感じ。無理矢理感動させられてしまった感じ。ちゃんとお腹いっぱいの満足感は得ることができた。