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閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ダイハツ クーザ Kooza

演劇 芸術 イベント 子供

シルク・ドゥ・ソレイユ Cirque du soleil
ダイハツ クーザ シルク・ドゥ・ソレイユ

  • 会場:原宿 特設テント ビッグトップ
  • 時間:2時間40分(休憩30分)
  • 評価:☆☆☆☆
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原宿の特設テントにシルク・ドゥ・ソレイユ『KOOZA』を小4の娘と一緒に観に行った。娘への誕生日プレゼントということにしたのだが、それは口実で本当に見たかったのは私のほうだ。
私がシルク・ドゥ・ソレイユを初めて見たのは昨年8月に舞浜の常設劇場での『ZED』の公演だ。前から「新しいサーカス」の代表格であるシルク・ドゥ・ソレイユの公演は観たかったのだがチケット代が高くて躊躇していた。この時期に割引チケットが出ていて予約したのだ。ショーの本番が始まるや否や演出のスケールの大きさと展開のスピード感に引き込まれ、驚嘆し、一気に魅了されてしまった。その興奮冷めやらぬうちに2月の『KOOZA』の先行予約が始まり、ずいぶん高額なチケットで先の予定も不確かであったのだけれどほとんど衝動的に予約してしまったのだ。発売早々に予約したので最前列の座席をとることができた。

『KOOZA』の公演自体はチケット代が高額のため爆発的に売れているわけではないようだ。常設の『ZED』も動員はかなり苦しんでいるようだが。不況の影響だと思うが高額チケットの公演はジャンルを問わず売れ行きが今ひとつのように思える。

それはともかく、最前列であの豪華絢爛なショーを見られるとあってずいぶん楽しみにしていた。会場に入ると本当にすぐ目の前にステージがある。最前列だとクラウンたちからいじられるチャンスも多いのも嬉しい。今回は身体検査されたり、頭を柔らかい鈍器でなぐられたり、靴を脱がされそうになったりした。

前半六演目、休憩30分を挟んで後半七演目、罰当たりなほど贅沢で派手なショーだ。『クーザ』は派手な服を着たトリックスターに導かれ、無垢な少年がドン・キホーテを思わせる陽気で狂った王と侍従たちが支配する狂騒的な王国を巡るというのが大きな流れになっている。一流のパフォーマーたちによるアクロバット技芸の数々は見ているだけで胸が締め付けられるような感覚に襲われる。前半はすぐ目の前で展開するストイックな鍛錬の上に完成された技芸の数々とクラウンたちが織りなす夢幻的な大騒ぎを見ているだけで感動して涙がぼろぼろと流れた。娘も食い入るように舞台を見ている。楽しんで見ている姿を見ると本当に連れてきてよかったと思う。
というわけで前半の満足感は強烈で後半への期待がますます膨らんだ。後半も巨大な二つのホイールを駆け回るアクロバットはスリリングで迫力満点で素晴らしかったのだが、その後、見ているこちらの熱が持続しなかった。後半の技芸もそれぞれ極めて高水準のものであるし、個々の演目の完成度は高いのだけど、トータルでスペクタクルをとらえた場合、演出の仕掛けが控え目で意外性に乏しいのだ。フィナーレも今ひとつ盛り上がりに欠けた。
全般的に一般のサーカスやパリのキャバレーでも見られるようなショーに洗練を加えた感じというか。パリで見たキャバレーのショーと比べると演目のコンセプトに大人向きのきわどさ、怪しさ、毒気がないのが物足りない。子供も観客なので仕方ないが。
スケールや驚きの点では『ゼッド』のほうが私は面白かった。もっとも『ゼッド』はシルク・ドゥ・ソレイユの公演を初めて見たゆえに驚きもあったとは思う。

個々のパーツは紋切り型なものでも構わないし、そうそう斬新な趣向というのは生み出されるものではないと思うが、もっと奇想天外で激しい起伏のあるドラマが欲しいように思った。2時間40分、まったく退屈することはなかったし、エンターテイメント・ショーとしては十分に堪能したのだけれど。
ただし娘はとても気に入ったようだった。昨夜、今夜と寝る前に公演のパンフレットを眺め、眠るときには枕の下にそれを置いている。『KOOZA』の夢を見るつもりなのだろうか。

楽しいパフォーマンスではあるが未就学児に見せるのはちょっともったいないかもしれない。音もかなり大きいし、キャラクターの造形がけっこう不気味なので怯えてしまう子供もいるはずだ。