- 上映時間:106分
- 製作国:イタリア/フランス/ベルギー
- 初公開年月:1995/06/
- 監督:ジェラール・コルビオ
- 製作:ヴェラ・ベルモン
- 脚本:アンドレ・コルビオ、ジェラール・コルビオ
- 撮影:ウォルター・ヴァン・デン・エンデ
- 音楽:クリストファー・ルーセット
- 出演:ステファノ・ディオニジ、エンリコ・ロー・ヴェルソ、エルザ・ジルベルスタイン、カロリーヌ・セリエ、ジェローン・クラッベ、マリアンヌ・バスレール、オメロ・アントヌッティ
- 評価:☆☆☆☆
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2005/03/23
- メディア: DVD
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実在した18世紀のカストラート歌手、ファリネッリことカルロ・ブロスキの生涯を、彼の兄、リカルドとの関係を中心に描く。芸術の女神に愛され、才能に恵まれたファリネッリはその歌声で人々を魅了し、カストラート歌手としての栄光を手にする。一方、兄のリカルドは作曲家として弟に付き添うが、弟の天才の輝きのもとで己の凡庸さを直視続けなくてはならず、卑屈にひねくれていく。天才作曲家のヘンデルとの確執、貴族の家の不具の少年との友情、共感などファリネッリを中心にいくつかの人間関係の綾が丁寧に描き出されるが、去勢という経験をトラウマとしてとらえ、そこを兄弟のドラマの核をする点については私は支持できなかった。去勢に対する視点があまりに現代的過ぎるように思えたのだ。去勢によって、奇蹟の歌声を保持し続け、世俗的な栄光と快楽、音楽による天上の喜びを手にすることができたのだから、カルロにとって去勢体験は必ずしも傷ではなかったはずだ。もとより歌うことしかできない人間であるわけだし、そのことは本人もよくわかっていただろう。
ドラマの展開は今ひとつだったけれど、当時の舞台美術、衣裳、劇場風景のなかで、ファリネッリが歌う場面がとにかく素晴らしい。歌声はカウンターテナーとソプラノ歌手の歌声を合成したものだそうだ。両性具有の人間だけが用いる官能性、神秘性があのビジュアルと歌声によって何十倍にも増幅される。