閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

わが命つきるとも(1966) A MAN FOR ALL SEASONS

ヘンリー八世の離婚問題に際し、信仰の原則論を貫いてそれに決して賛同せず、そのために死に追いやられたトマス・モアの姿を描く。ドラマを抑えた淡々とした展開のなか、トマス・モアは権力の不条理に抗し、破滅への道を静かに進んで行く。死の恐怖を前にしても、人文主義者としての筋をきっちり通したモアの生き様が感動的だ。ユダのようにモアを裏切った小悪党が、その後出世し、ベッドの上で安らかに死んだことを告げる最後のナレーションが心に残る。運命の気まぐれと皮肉。