文学座アトリエ公演
- 作:エドワード・オルビー Edoward Albee
- 訳:添田園子
- 演出:鵜山仁
- 美術:乘峯雅寛
- 照明:中山奈美
- 音響:泰大介
- 衣裳:原まさみ
- 出演:富沢亜子、今村俊一、若林泰弘、釆澤靖起
- 劇場:信濃町 文学座アトリエ
- 上演時間:1時間50分
- 評価:☆☆☆☆
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50歳になった有名建築家がはじめて妻を裏切った。その浮気の相手は山羊のシルビアだったという話。山羊との獣姦不倫という不条理を核に、夫婦間、家族間に暗黙裏に共有されている欺瞞に揺さぶりをかける風刺的笑劇の秀作だった。グルグルと迂回しながらうねうねと執拗に絡み合う言葉のやりとりの中で、夫婦、家族の欺瞞が、意地の悪い黒い笑いとともに浮き彫りになる。
意地の悪いブラック・ユーモアを織り交ぜつつも、山羊との不倫の告白の核心の周囲をぐるぐると巡るやりとりの執拗さには息苦しい緊張感があった。笑いの多い舞台ではあったが、見る人によって様々な解釈を引き出すような隠喩が詰め込まれた戯曲だ。
客受けを優先させてもっとギャグを暴走させるやり方もあったと思うのだが、鵜山演出は全体的には禁欲的で、ギャグの暴走に抑制がかけられている。テクストのエッセンスを巧みに拡大・強調した鵜山仁らしい堅実な演出だった。マーティンを演じた今村俊一さん、巧いといえば巧いのけれど、型の芝居で同じパターンが繰り返されてしまう感じになっていて、対話のやり取りに若干単調さを感じる箇所もあった。