閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

国立演芸場八月中席

桂歌丸噺家生活60周年記念公演で、歌丸師匠がトリで円朝作『真景累ヶ淵』から「豊志賀の死」をやった。
今日は眠たい日だった。多分寝てしまうだろうなと思ったら案の定、仲入り前の演目はすべてまくらを聞いただけで、噺に入ると眠ってしまいあまり頭に残っていない。ギタレレ漫談のぴろきのときはずっと起きていたけれど。ぴろきの芸は、ウクレレサイズの小さなギター伴奏で、日常を題材にした脱力ネタをため息まじりでふにゃふにゃとつぶやくというもの。

前半よく眠ったので仲入り後はちゃんと覚醒。歌丸師匠を囲んで鶴光、小柳枝、歌助の談話(対談となっていたが各人が歌丸師匠噺家六十年に賛辞を送るというもの。こういうときに社交辞令的な賛辞を織り込みつつしっかり笑いをとる落語家というのは大したもんだなと思う)、それから鶴光師匠の「鼓ヶ滝」。落語というより講談ぽい噺だった。西行法師が有馬温泉のそばにある鼓ヶ滝を歌った歌を宿屋の親子に修正されて慢心から立ち直るという噺だった。ダジャレ、脱線などの小ネタを適宜挟みながらリズムよく語られる。お話自体はそう面白いとは思わなかったけれど、テンポのよさで引き込まれた。
鶴光のあとの檜山うめ吉の俗曲。見た目が可愛らしい人だ。そして高くて澄んだ声も美しく、心地よい。
トリは歌丸師匠の「豊志賀の死」。一時間弱、充実感のある物語りの世界を堪能した。ゆっくりと徐々に語りの深みへ引きずりこまれるような感じを味わう。女を演じる時の歌丸師匠の表情に現れる媚がとても可愛らしいと思った。途中、場内の照明がすっと密やかに暗くなったのも効果的だった。

2007年に公開された中田秀夫監督のホラー映画『怪談』はこのエピソードをもとにしているそうだ。ホラー映画は苦手だが、これはちょっと見てみたいがする。