閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

宮澤賢治/夢の島から

「わたくしという現象」

  • 構成・演出:ロメオ・カステルッチ
  • 上演時間:30分
  • 評価:☆☆☆☆★

「じめん」

  • 構成・演出:飴屋法水
  • 上演時間:50分
  • 評価:☆☆☆★
  • 会場:都立夢の島公園内多目的コロシアム
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夢の島公園のなかにある草の生えたグランドでの野外公演。場所は窪地状になっている。
観客の多さにちょっと驚く。二千人ぐらいはいたように見えた。棒につけられた大きな白旗を各自一つずつ入場前に渡され、それを持ってぐるぐると上演場の周囲を観客が列をなして回る。白旗の大群の行進、まるでKKKの集会みたいな光景だなと思った。行進中、スピーカーからは不気味なノイズが流れている。中央のグラウンドには白いプラスチックの椅子が大量に整然と並べられていて、それが墓標に見えた。
観客は草の生えた土手に座る。白旗を持った大量の人間が草の斜面に座る光景も壮観だ。グラウンドの椅子の最前列の一脚に少年が座っている。音楽が多声の宗教音楽風のものに変わる。16-17世紀のモテットか何かと思っていたのだけれど、現代作曲家によるそれ風の音楽らしい。しばらく見ていると、無人の椅子がゆっくりと倒れ始める。初めは一脚、二脚、次第に大量の椅子が次々と倒れ、後ろの方へゆっくりと引きずられていく。その光景は圧巻だ。私は三月の地震での津波の映像を連想した。椅子が後方へ流され、土手の斜面でからみあってる。照明に照らされた椅子の白さは人骨を思わせた。しばらくすると丘の向こう側から白い服の人間がわらわらと現れ、よたよたと転がりながらグラウンドにむかってくる。

そして白旗がゆっくりと振られると、観客もそれに呼応するように立ち上がって旗を振る。丘の向こう側からはレーザー光線の青い光が出て、それがグラウンド上を横切る。
地形なども計算に入れた、スケール感のあるパフォーマンスだった。宗教的儀式の巨大なパロディのようにも感じられた。私は中世の典礼劇も連想する。西欧演劇の演劇は教会の典礼儀式のなかで演じられた対話体のやりとりに由来するが、カステルッチの今日のパフォーマンスはそれに回帰していったようであった。巨大宗教団体の集会でこのような演出があれば相当盛り上がるに違いない。

二十分ほどの休憩があって、飴屋法水氏による『じめん』。これは私はしっかり受けとめることができなかった。

西欧演劇の起源はカトリックの典礼儀式にある。典礼儀式と演劇を切り分ける指標は何だろうか、とカステルッチのスペクタクルを見ながら考える。