- 作:山本むつみ
- 演出:鈴木龍男
- 装置:中嶋正留
- 照明:松本由美
- 音楽:上田亨
- 劇中劇音楽*杵屋佐之忠
- 振付:坂東鼓登治
- 音響:小倉潔
- 制作:武藤挺一、楠脇厚子
- 出演:嵐芳三郎、河原崎國太郎、嵐圭史、中村梅之助、上沢美咲、津田恵一、山崎辰三郎、高橋佑一郎、北澤知奈美、黒河内雅子
- 劇場:吉祥寺 前進座劇場
- 評価:☆☆☆★
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題材の目の付け所は面白い。明治はじめの太陰暦から太陽暦への改暦の際の市井の人々の混乱を、芝居好きの暦問屋の若旦那を中心に描き出す。この若旦那役を演じたのが嵐芳三郎。四十代の若い役者で前進座の若手の柱だ。彼の演技は明朗で愛嬌があってよかった。私は彼のファンなので、この芝居での彼の活躍ぶりが嬉しい。
権力の横暴とそれに対抗する庶民のしたたかさなど、現代の政治状況をも連想させる風刺的描写や、劇中的構造で歌舞伎が芝居のなかで演じられるという趣向などが多彩な場面で構成された作品だったが、展開のリズムが悪く、冗漫に感じられた。休憩20分を入れて3時間の尺にわざわざ引き延ばしたような感じがし、途中退屈してしまう。冒頭と最後のミュージカル風演出はとてもよかったのだけれど。
着想は優れているけれども、構成がよくない。各登場人物の個性の印象も弱く、ドラマとしての盛り上がりはいま一つだった。