閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

エドワード・ボンド『戦争戯曲集 三部作』より第一部『赤と黒と無知』、第二部『缶詰族』

劇場創造アカデミー
座・高円寺 劇場創造アカデミー2期生 修了公演

  • 作:エドワード・ボンド
  • 翻訳:近藤弘幸
  • 演出:生田萬(第一部『赤と黒と無知』)/ 佐藤信 (第二部『缶詰族』)
  • 美術:島 次郎
  • 照明:齋藤茂男
  • 音響:島 猛
  • 舞台監督:鈴木章
  • 出演・スタッフ:劇場創造アカデミー2期生
  • 劇場:座・高円寺
  • 上演時間:約3時間(休憩含む)
  • 評価:☆☆★
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座・高円寺の演劇学校、劇場創造アカデミーの2期生の修了公演昨年娘と一緒に高円寺びっくり大道芸のボランティア・スタッフに昨年参加したことがきっかけでアカデミーの研修生と知り合い、昨年5月にあった1期生の公演も娘と観ている。2期生公演も娘が強く希望したので見にいくことになった。演目は1期生の公演と同じだが、演出が前回とは入れ替わっている。前回公演では第一部を佐藤信、第二部を生田萬が演出を担当してた。

唯一無二の公演にかける修了生の方々の熱意に心動かされたが、正直なところ、3時間の公演は苦行だった。

第一部『赤と黒と無知』は、九の場からなるがそれぞれの場は独立したエピソードをなしている。全体としてはぼろぼろの衣服をまとった「怪物」の誕生からその死までが時系列に沿って表現される。その一生の過程で核戦争が起こり、軍隊に入った息子に怪物が殺されるという流れは何となくわかったけれど、個々のエピソードの内容はよく理解できなかった。ダイアローグが芝居の台詞とは思えない。敢えてやっているのかもしれないけれど、稚拙なポエム風の台詞だ。第二部は物語ははっきりしているのだけれど、台詞がやはりひどい。主演級の小柄な女優が可愛かったので、上演中は彼女ばかり見ていた。
陳腐な少年向きのSFマンガを連想させる主題も、前衛風の仰々しい表現も、そして翻訳調丸出しのごつごつしてなめらかさのない「詩的」言語も、私の趣味ではない。あからさまなメッセージはナイーブすぎて、今、アカデミーの修了生がこの演目を演じることにそらぞらしさを感じた。一生懸命芝居を作ってきたに違いないアカデミー研修生の面々には申し訳ないのだけれども。
芸術監督である佐藤信がこの作品を研修生の修了公演の演目として選択し、しかもレパートリー化しようする理由が私には解らない。

小五の娘は、意外なこととに、前回もそうだったのだが、今回もすごく集中して芝居を見ていたのだ。私と違って全然退屈している様子がなかった。彼女にとって知り合いが出ているというのは大きいんだな。
上演終了後、「全然わけわからんかったよ」と私が言うと「いや、そうでもなかったよ。何となくわかるよ」だと。うーん。
大道芸ボランティアのときに世話になったアカデミー生のお兄さんに、娘は手紙とプレゼントを渡していた。プレゼントと手紙は娘の趣味だな。