東邦音楽大学オペラ定期公演
- 総監督:畑中良輔
- 公演監督:佐浦國雄
- 指揮:吉田裕史
- 演出:杉理一
- 演奏指導:片岡啓子
- 管弦楽:東邦音楽大学管弦楽団
- 合唱指揮・副指揮:加門 伸行
- 舞台美術:西川成美
- 衣裳:松田優
- 照明:奥畑康夫
- 出演:土崎譲、湯浅桃子、川口千咲子、吉田南他
- 合唱:東邦音楽大学 東邦音楽短期大学 東邦音楽大学附属東邦高等学校・東邦第二高等学校
- 子ども達:学校法人川越双葉幼稚園
- 劇場:東邦音楽大学グランツザール
- 評価:☆☆☆★
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東邦音大のオペラ公演《魔笛》を観に行った。外部からのキャストやスタッフも混じっているが、桐朋音大の教員やOB、学生を中心にした公演で、基本的には内輪向きの公演なのだと思う。会場は川越の桐朋音大キャンパスにあるホール。キャンパスの建物はまだ新しかった。
公演時間は一幕が70分、二幕が100分。
会場は500人ぐらい収容できる大きさ。こんな小さな会場でオペラを見るのは初めてのような気がする。舞台美術は書き割りを使った簡素なもので、舞台の間口も奥行きも狭い。しかし《魔笛》はこれぐらいこじんまりした会場でやるのも悪くないように思った。ベルイマンの映画のセットもこんな感じだったように思う。
タミーノをブータンの国王とする設定変更はあまり同意できないし、ドラマの上で特に効果的だとは思わなかったけれど、オペラに普段なじみのない一般の観客には舞台をより親しみやすくする効果はあったかもしれない。歌はドイツ語だが、台詞は日本語になっていた。演奏者も観客も日本人なのだから、もう一歩踏み込んで歌も日本語版で聴きたかったように思った。台詞の部分は俗語的表現もつかったかなりくだけたものになっていたが、私は台詞の翻案についてはそれほど面白いとは思わなかった。《魔笛》のなかで私が一番好きなパパゲーノとパパゲーナのデュオのところで、地元の幼稚園の園児がわらわらと出てくる演出はちょっと楽しかった。学芸会じみた安っぽさも出てしまったけれど、こういうくつろいだ雰囲気の《魔笛》は悪くない。
舞台装置は簡素だったけれども、衣裳はかなり凝っていた。音楽のパフォーマンスは、普段はCDなどで超一流の演者の演奏を聴いているので、やっぱり物足りないところがある。歌手によって出来に相当なばらつきがあるのは仕方ない。それでも夜の女王とパパゲーノという要となる役柄を演じた歌手がよくて、全体としては楽しんで聴くことができた。音楽のテンポは全体に若干早め。
支離滅裂な物語の展開をじっくり追いながら鑑賞することができた。見るたびに《魔笛》は奇妙な物語だなと思う。