モナカ興業
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- 作：ゲーテ
- 翻訳：相良守峯
- 構成・脚本：フジノサツコ
- 演出：森新太郎
- 照明：佐々木真喜子（ファクター）
- 音響：中村光彩
- 衣裳：koco
- 舞台監督：鈴木沙織
- 出演：長瀬知子、渡辺樹里、吉原真理、杉森祐樹、澁谷佳世、佐治静、木津誠之、遠藤祐生
- 劇場：新宿 スペース雑遊
- 上演時間：100ふん
- 評価：☆☆
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演劇集団円に所属する森新太郎の演出の舞台。森新太郎はまだ三十代の演出家だけれど（風貌はおっさん臭い）、円でやったマーティン・マクドナーの作品の演出作品は面白かったし、昨年の新国立劇場での『ゴドー』も橋爪功と石倉三郎という癖の強い役者をうまく押さえつけてシャープな『ゴドー』を作っていた。戯曲をしっかりと読み込んだ上で、しっかりとした戦略に基づいた演出プランを構築することができる演出家というイメージがある。
『ファウスト』の上演は数年前に演劇集団円で見たことがある。演出は森新太郎ではなかった。橋爪功主演で、第一部、第二部を再構成・圧縮して、ひとつの作品として一挙に上演するという試みだった。強引な圧縮ぶりと橋爪功の「オレサマ」芝居で賛否両論だったような気がするが、私はかなり楽しんで見た。メフィスト役のYKの芝居がうっとうしかったが。
今回の『ファウスト』は第一部のグレートヒェン悲劇の部分のみの上演だが、上演時間は100分ほどだったので、やはりかなりテクストは刈り込まれている。
芝生絨毯（？）が数枚使われる他は、舞台装置は用いられないシンプルな舞台だった。ほぼ素舞台と言っていい。ファウスト役は女優が演じる。ただし女として演じるのではなく、女性のかっこうのまま、男性ファウストを演じる。彼女はほぼ出ずっぱりで、膨大な台詞を、怒鳴りつけるような調子で喋り続ける。この女優の熱演振りは賞賛に値するものだったが、発声が一本調子だったため（ずっと怒鳴っているように聞こえた）、密度の高い相良訳の修辞的な文句は私の頭に残らずに、上方を通り抜けていった。あの言葉は戯曲の台詞としてはちょっときつい。上演時間のうち、1/3ぐらい寝てしまった。結末部でファウスト役の人間が、グレートヒェンに入れ替わるという仕掛けがあるのだけれど、そこに至るまでの言葉の奔流を私は受けとめきれず。私にとっては単調で退屈な舞台だった。
