shelf volume 13
- 構成・演出:矢野靖人
- 音響・ドラマトゥルク:荒木まや
- 照明デザイン:則武鶴代
- 衣裳:竹内陽子
- 出演:川渕優子、春日茉衣、金原並央(害獣芝居)、小山待子(ZACCO)、日向野敦子、森裕介、ミウラケン
- 劇場:北池袋 atelier SENTIO
- 上演時間:60分
- 評価:☆☆☆★
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戯曲に限らず、いくつかの異なるジャンルのテクストの引用を再構成した作品と案内にあったので、「ひとりよがりで、難解な芝居だったら困るなあ」と思い、観に行くかどうかちょっと迷っていた。昨年のsentivalで見たshelfの作品はやはりコラージュ風の作品を思い出したのだ。スタイリッシュでかっこいいけれど、表現が抽象的で私には理解できない作品だった。今回の作品も観念的で難しそうだな、私は苦手そうだなと思いながらおそるおそる観に行ったのだけれど、案外ふつうに楽しんで見ることができた。テクストのリンクのさせ方が比較的わかりやすかったからからだろう。
ジャンル、時代、地域の異なる六つのテキストをリミックスした舞台。川渕優子さんをはじめ、出演している女優がきれいで魅力的だ。衣裳、照明もいい。シンプルでストイックな空間のなかで、洗練されたビジュアルを提示している。
取り上げたテクストはいずれも暗い内容だったように思う。これらのテクストをつなぎ合わせ、絶望をらせん状に延々と連関させて終わるのかなと思ったけど、最後に希望を見せてくれたのにほっとした。取り上げたいくつかのテクストの中では、『アンチゴネ』のパートが私は好きだった。芯のある朗唱によって、福田恒存の台詞の意味内容をしっかり伝えていた。
shelfによるラシーヌ『フェードル』、サルトル『出口なし』をいつか見てみたいように思う。雰囲気がはまりすぎて、意外性乏しく、実際にやってみるとあんまり面白くないかもしれないけど。