閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

オレンジと太陽(2010) ORANGES AND SUNSHINE

ジム・ローチ初監督作品 オレンジと太陽 | Oranges and Sunshine | 公式サイト

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1970年代まで続いた英国から豪州への児童移民の悲劇を取り上げた作品。女性ソーシャルワーカーの献身的取り組みによって、移民たちが喪失したアイデンティティを掘り起される過程で育まれる信頼、共感の描写が感動的だった。抑制されたストイックな演出もいい。

彼女の活動を支え、理解を示しつつも、孤児たちの「母」「姉」となってしまった妻、母に対して、夫と子供が抱くフラストレーションも描き出されている。孤児たちとのクリスマスパーティの場面が最後のほうにある。ワーカーの幼い息子は、パーティの参加者のひとりに「君はプレゼントは持ってきてくれなかったの?」と尋ねられる。すると息子はちょっとだけすねたような声で「I gave you my Mum」と早口で答える。この場面がとてもいい。