閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

月の岬

青年団
青年団第66回公演『月の岬』

  • 作:松田正隆
  • 演出:平田オリザ
  • 舞台美術:奥村泰彦
  • 照明:吉本有輝子
  • 衣裳:有賀千鶴
  • 舞台監督:中西隆雄
  • 出演:内田淳子(客演) 根本江理子 太田 宏 大塚 洋 井上三奈子 山本雅幸 河村竜也 村田牧子 山本裕子 木引優子 近藤 強 伊藤 毅 井上みなみ
  • 劇場:座・高円寺
  • 評価:☆☆☆☆
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長崎の離島を舞台に、現代的な日常の背後に根強く残る地方の土俗的因襲の闇を、繊細な仄めかしの表現の重なりのなかに描き出す作品。お姉さん役の内田淳子の細身の身体がとても綺麗だった。この姉は因襲に振り回され、己を失っていく役柄。太田宏の演じた弟は、姉、生徒を含め、登場する女性全員と関係を持っていることが暗示されているように私は思った。高校生役三名の役者が本当に高校生っぽかった。特に伊藤毅、最初、ホントに高校生かと思ってしまったほど。
イプセンのように写実的手法で精巧に組み上げられた象徴劇。平田オリザ演出らしい表現の細部まで神経の行き届いた秀れた舞台だった。しかしよくできすぎていて、面白いけどつまらない。