- 音楽・演出:三浦康嗣(□□□)
- 振付・演出:白神ももこ(モモンガ・コンプレックス)
- 演奏:権藤知彦(pupa/anonymass)、田中佑司、千葉広樹、村田シゲ(□□□/CUBISMO GRAFICO FIVE/Circle Darko)
- 舞台監督:佐藤恵
- 舞台美術:青木拓也
- 照明:伊藤泰行、南香織
- 音響:星野大輔(サウンドウィーズ)
- PA:田鹿充
- 衣装:藤谷香子(FAIFAI)
- 宣伝美術:伊藤ガビン、いすたえこ(NNNNY)/渡辺浩之(OLOLA)
- 演出助手:きまたまき
- 制作協力:上砂智子
- 制作:宮永琢生(ZuQnZ)
- 制作・ドラマトゥルク:野村政之
- 出演:坂本美雨、今井尋也、今村洋一、初夏、大柿友哉、北川結
- 劇場:三件茶屋 シアタートラム
- 上演時間:2時間20分(休憩15分)
- 評価:☆☆★
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柴幸男と口口口の三浦康嗣、そして振付が白神ももこの三人が共同して作る音楽劇。
柴幸男と口口口の三浦康嗣はあの名作、『わが星』のコンビなので、あの感覚が麻痺するような高揚感、陶酔感を期待して、娘と一緒に見に行った。しかし見事な期待外れとなった。『わが星』はラップ・ベースの長大な楽曲を演劇的に展開したラップ・オペラという趣だったけれど、『ファンファーレ』は『わが星』と比べると普通のミュージカルという感じだ。それも児童向きのチープな童話ミュージカル。今日、作品を見る前に、ツィッターで否定的な感想をいくつか目にしていたのでその影響もあったかもしれないが、おとぎ話的定型をそのままなぞったようなストーリー、人物と場所の設定が、薄っぺらく感じられた。平凡な日常のディテイルに光をあて、演劇的魔法によっておとぎ話にするのが柴幸男の芝居だったのだが、これはおとぎ話的な話をおとぎ話として提示している。音楽も耳障りのよい合唱曲という感じで私の好みではなかった。踊りについてはよくわからない。
ファーレというファとレの音しか歌うことができない女性が主人公で、3幕の各幕でファーレを演じる女優が変わる。このファーレは自分の父母を知らない。この父母は「ソラ」にいるという。声楽教師のレッサーパンダ先生と暮らし、歌をならっていたが、先生の家を飛び出し、歌を歌うことで父母を見つけ出そうとする。
子供向きの芝居ということで作られた芝居なのだろうか? 子供向き芝居としても対話のリズムは悪いし、展開もたるい。子供向きなんてことを意識しなくても、柴幸男はこれまで幅広い年齢層が受け入れることができる優れた感覚の芝居を作ってきたのだが。こんな凡庸な脚本を柴幸男が書いてしまったことにちょっと驚く。
しかしツィッターでは絶賛の感想も多い。今日の舞台でもスタンディング・オベーションをしていた人がいた。人のとりかたはいろいろだ。
娘は数年前に見た大道芸もやる演劇集団、toRマンションと雰囲気が似ていると言っていた。なるほど、今日の芝居から表現の洗練を取り除くと、to R マンションのがちゃがちゃとした世界に近づく。
私にはよくわからない作品だった。