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閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

徳丸北野神社の田遊び

恥ずかしながらこのような行事が地元の神社で行われていることをこれまで知らなかった。ツイッターのツィートで初めて知ったのだ。 


毎年2/11に行われる徳丸北野神社の田遊びと2/13に行われるその近所にある赤塚諏訪神社の田遊びは、「板橋の田遊び」として国の重要無形民俗文化財に指定されている。徳丸北野神社の田遊びは神社の縁起によると995年から始まったという。 

家に帰ってから百科事典で調べてみると、田遊びとは春の祈年祭の芸能であり、稲作を中心にした春の耕作始めの儀礼に発し、芸能に成長したものをいうとのこと。全国の300箇所以上でこの祭礼は伝承されているそうだ。一年間の稲作動作を唱え言と模擬動作を組み合わせて演じるのがこの芸能の特色だが、板橋の田遊びは太鼓の表面を田面、蛭を鍬、松葉を苗などに見立てるなど、実際の農具は使用しないところに特徴があるらしい。 演じるのは神社の氏子である土地の有力者だとのこと。 
板橋のこの付近の田畑は昭和40年代に高島平団地の建設されることでなくなってしまった。北野神社は高台の一戸建て住宅地の中にあり、それほど大きな神社ではない。 

 


二間四方の大きさの「もがり」と呼ばれる舞台で、白装束の十数人の老人によって演じられる。祭礼は以下17の場によって構成され、唱え言葉と所作によって表現される.板橋区教育委員会作成のパンフレットから引用する。

1.田歩調べ:大稲本と小稲本の唄導によって開始されます。まずは徳丸村の苗代の数を調べます。 
2.田打ち:田んぼを「荒おこし」します。 
3.田うない:ニワトコに餅をつけた作られた鍬を使い、田んぼに見立てた太鼓を打つ仕草をし、田をならします。 
4.代かき:牛の面をつけた「牛」役が、大稲本と小稲本にひかれて田をならします。

〈牛が登場。太鼓の周りをぐるぐる回って「田かき」を行う。ユーモラスな動きに笑い声が起る。とても寒いけれど演者の人たちは楽しげ。〉

 
5.種まき:大稲本と小稲本によって、神田などに種がまかれます。 
6.鳥追い:大稲本と小稲本が竹でできた「ささら」を鳴らして、神田などの苗代を荒らす鳥を追い払います。 
7.田廻り:それぞれの田の苗の育成状況を見て廻ります。 
8.春田うない:それぞれの田を掘り起こします。 
9.田かき:再び「牛」が太鼓を廻り、田をかきます。 
10.田ならし:田に肥料を入れてならします。 
11.田植え:稲の苗に見立てた「早乙女」役の男子を大稲本と小稲本が白扇であおぎ、鍬取りが太鼓の上にのせて、高くほうり上げます。苗の生育と子どもの成長を祈っているものです。 
12.呼び込み:もがりに向かって、宮司宅から松明に導かれながら。「ひるまもち」とユーモラスな人形「よねぼう」が踊りながら歩いてきます。これは農作業の昼休みを表現しています。その後、「太郎次」・「安女(やすめ)」の夫婦があらわれます。安女は妊婦で太郎次と抱き合う仕草をし、五穀豊穣を表現します。 次ぎに害虫や疫病を祓う「獅子」が登場し、「駒」と「矢(破魔矢)」が続きます。

〈「呼び込み」。太郎次とその妻、安女。後ろは稲の苗「早乙女」役の男の子。寛いだ雰囲気の中、祭礼は続く。〉


13.田の草取り:それぞれの田の草をとります。 
14.田廻り:それぞれの田を見回ります。 

15.穂ばらみ:稲穂の生育を確かめます。
16.稲刈り:大稲本と小稲本がニワトコに絵馬を付けた「鎌」を使って稲穂を刈り取ります。 
17.稲むら積み:太鼓の上に田遊びの道具一式を積み上げて豊作を言祝(こほと)ぎます。最後に手締めを行って終了します。 

全体的にユーモラスでくつろいだ雰囲気のなかで執り行われ、各場ごとに変化があって見ていて飽きない。演じる老人たちもとても楽しそうにやっている。映像がいくつかネット上に上がっていた。 
http://www.ustream.tv/recorded/20368399 

歌の節回しがいい。旋律が美しい。 
構成もよく練られていてクライマックスの「田植え」から「呼び込み」にかけては、かなり盛り上がる。予想していたよりはるかに面白い祭事だった。東京の住宅地のなかでまさかこんな伝統的神事が行われているとは。赤塚、恐るべしだ。 

今日は強烈な寒さだったので見るのも大変だったが、演者の老人たちもさぞかし大変だったはずだ。今は午後6時から行われるが、戦前は深夜にひっそりと行われていたそうだ。上演時間は1時間40分ほどだった。

 

補足。レポートあった。http://gaagle.jp/gagazine/print.php?kiji_id=4899 あと折口信夫がこの風習について記していることもこのレポートで知った。「田遊び祭の概念」http://www.aozora.gr.jp/cards/000933/files/46329_26563.html