- 構成・演出:安田雅弘
- 原作:武田泰淳
- 照明:関口裕二(balance, inc. DESIGN)、小栗永里子
- 選曲・音響:齋見浩平
- 舞台監督:本弘
- 宣伝美術:福島治、古川洋祐
- 出演:浦弘毅、斉木和洋、川村岳、山本芳郎
- 劇場:御茶ノ水 文化学院講堂
- 評価:☆☆★
『ひかりごけ』の核となる部分を抽出したかのようなストイックな舞台だった。山の手独自の身体的表現を抑制し、セリフをブロックのように重ねる中に荒涼、殺伐の情景を描く。前半の洞窟の場は、バルコニーから講堂一階に組み上げられた5メートルほどの高さの櫓舞台を見た。第二場では客席は一階に移動し、一場とは逆の位置から展開を耳守る。二つの視点から提示される事件の様相が客席の移動によっても示されていた。
衣装も含め、白一色の舞台空間のデザインは印象的ではあったけれど、私には静的過ぎて、単調に感じられた。
やっぱり私にとって『ひかりごけ』といえば、大川潤子が出ていた三条会の初期バージョンだ。私が一番最初に見た三条会作品で、そのデフォルメされた舞台の強度に圧倒されて、見た直後は何が何やらわからない状態になった。他の『ひかりごけ』を見ても、三条会版の場面がオブセッションとして沸き上がって来てしまう。