- 上映時間:101分
- 製作国:イギリス/フランス/ベルギー/イタリア
- 初公開年月:2013/04/13
- 監督:ケン・ローチ
- 製作:レベッカ・オブライエン
- 脚本:ポール・ラヴァーティ
- 撮影:ロビー・ライアン
- 編集:ジョナサン・モリス
- 音楽:ジョージ・フェントン
- 出演:ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショウ、ガリー・メイトランド、ウィリアム・ルアン、ジャスミン・リギンズ、ロジャー・アラム、シヴォーン・ライリー、チャーリー・マクリーン ロリー・マカリスター
- 映画館:銀座テアトル・シネマ
- 評価:☆☆☆☆
「“天使の分け前”とは? ウイスキーなどが樽の中で熟成されている間に、年2%ほど蒸発して失われる分のこと。10年もの、20年ものと年数を重ねるごとにウイスキーは味わいを増し、それとともに天使の分け前も増していく」(公式サイトより)
スコットランドのグラスゴーですさんだ生活を送っていたチンピラじみた若者が、懲罰としての奉仕労働の現場監督の優しさに触れて、更生していく。話の筋はありきたりすぎる道徳的物語なのだけれど、ダメな若者たちのだらしなさ、間抜けさ、やるせなさの描写にリアリティがある。そして彼らに接する現場監督のおやじの慈愛の深さには、ケン・ローチの人間に対する根源的な願いが仮託されている。
タイトルにあるように「天使の分け前」を手にする過程で、若者は人間への信頼を回復し、まともな生活へのあしがかりをつかむ。主人公以外の3人の若者はぐだぐだの生活にまた溺れてしまうことも暗示されてはいるものの、作品のラストは希望に満ちている。
スコットランドのミュージシャン、プロクレイマーズの『500マイル』はこの映画のテーマソングとしていかにもふさわしい。あまりに危なかっしい主人公たちのふるまいにハラハラしたが、最後は爽やかな後味のハッピーエンドだった。観客から「あっ!」と声上がる場面あり。ローチの人間味のあるユーモアも心地よい。