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閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

マリオン

演劇

青☆組 vol. 18

  • 作・演出:吉田小夏
  • 舞台監督:森山香緒梨
  • 舞台美術:濱崎賢二(青年団) 
  • 照明:伊藤泰行 
  • 音響:泉田雄太
  • 衣裳:吉田健太郎
  • 演出助手:松本ゆい
  • 出演:荒井志郎、福寿奈央、藤川修二、大西玲子(以上、青☆組)、松本ゆい
  • 劇場:こまばアゴラ劇場
  • 評価:☆☆☆★

ゾウガメのマリオンの話は、国語教科書にも採用されてよく知られているらしい。私はこの作品を見た後、ウィキペディアの「ゾウガメ」の項目を読んで知った。『小学館世界大百科全書』にもマリオンについて以下のような記述があった。

1766年にフランスの探検家マリオンによりセイシェル諸島からモーリシャス諸島に運ばれた「マリオン」ゾウガメは、152年間の飼育記録を樹立した。来島時すでに成体であったことから、寿命は180年ほどと考えられている。

 

青☆組『マリオン』はこのゾウガメのエピソードを演劇化したものである。ゾウガメは擬人化され、劇中劇として彼女の物語が提示される。航海時の食用としてゾウガメは乱獲されたため、マリオンはセーシェルのゾウガメの最後の一匹となった。200年近い長い生涯の多くを孤独の中で生き、最後は高所から転落ししてしまうゾウガメ、マリオンの物語は、抒情豊かな美しい幻想的な童話劇となっていた。身体を左右にゆらしながら、よたよたと歩く演出がとてもいい。ユーモラスで悲しげで。

 

この優しく美しいゾウガメの童話は、二重の枠構造の中で語られているのだが、アナクロな旅芸人一座の出し物という真ん中の枠は、話を無意味に錯綜させるだけであまり効果的に機能していなかったように思う。中の物語の雰囲気とも合っておらず、私は違和感を覚えた。一番外側は未来、地球ではない別の惑星で、「春」の季節を知らないという旅の男に、放浪の娼婦が話を聞かせるという設定になっている。この一番外側のSF的設定の枠も、擬人化されたゾウガメの物語を語る枠としてはしっくりこない。

 

演技演出も丁寧で説得力あったし、役者もよかったけど、何よりもよかったのは、芝居をニコニコ顏で見守る作・演出の吉田小夏さん。その様子が優しい学校の先生みたいで無茶苦茶可愛らしい。演技見ながら「そうそう!」って声が聞こえてきそうな感じで。