http://www.komaba-agora.com/line_up/2013/09/kudanproject/
- 原作:しりあがり寿
- 脚本・演出:天野天街
- 美術:田岡一遠
- 照明:小木曽千倉
- 音響:岩野直人
- 映像:浜嶋将裕
- 音楽:珠水
- 振付け:夕沈
- 舞台監督:井村昴、他
- 出演:小熊ヒデジ、寺十吾
- 劇場:こまばアゴラ劇場
- 評価:☆☆☆☆
天野天街演出作品は、どういうわけかこれまで見たことがなかった。いつも公演がかかるたびに見たいなと思い、チェックは入れているのだけど。KUDAN Projectの前作の『美藝公』は大好きな筒井康隆の小説が原作だったし、評判もとてもよかったので必ず見に行こうと思っていたのだが、結局、見に行けず。 今回のKUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』が私にとって初天野天街作品となった。
『真夜中の弥次さん喜多さん』はしりあがり寿の原作マンガは読んだことはないけれど、2005年に上映された宮藤官九郎の映画版は見ていて、この映画は好きだった。クドカン映画では旅股もの、ロードムービーになっていて、二人の道中は進行していったように思う。キャストがとにかく素晴らしかった。主演の長瀬智也と中村七之助のコンビもよかったし、阿部サダヲ、松尾スズキ、荒川良々という大人計画メンバーの他、中村勘九郎、研ナオコ、毒蝮三太夫、竹内力、古田新太など驚異的に濃いメンバーが揃っていた。
KUDANの舞台版では、旅は進行しない。とある旅館の一室で延々、うねうねとエピソードがループし続ける。過剰に詰まった演出的仕掛けで、目まいを覚えるような甘美で幻想的無間地獄絵巻が展開する。恐るべき作品であると思ったけれど、あまり乗れなかった。ループの執拗さ、弥次さん喜多さんの二人の関係の濃厚さに、ぐったりする。見終わったときにはかなりの疲労感が残った。面白いけれど、深くて重い。 作品見る前に読んでしまったツィッターでの否定的感想に若干影響されてしまったためか、今一つ芝居の雰囲気に入り込むことができなかった。うまく見るタイミングがあえば、大絶賛し、のめり込んだ作品だと思うのだけれど。今の自分はこういう芝居をあまり求めていない。