- 上映時間:111分
- 製作国:日本
- 初公開年月:2013/11/23
- 監督:前田司郎
- 原作:前田司郎『ジ、エクストリーム、スキヤキ』(集英社刊)
- 脚本:前田司郎
- 撮影:平野晋吾
- 美術:平井淳郎
- 編集:佐藤崇
- 音響:黄永昌
- 音楽:岡田徹
- エンディングテーマ:ムーンライダーズ『Cool Dynamo, Right on』
- 出演: 井浦新、窪塚洋介、市川実日子、倉科カナ
- 映画館:テアトル新宿
- 評価:☆☆☆☆
五反田団の前田司郎の監督・脚本作品ということで見に行った。五反田団の演劇の雰囲気がそのまま映画に移行している。肩の力が抜けた脱力系の雰囲気。登場人物の会話はゆるゆるに弛緩していて緊張感がない。前田司郎のこのセンスは私は大好きだ。しかし彼の演劇作品を続けて観ると、その斜に構えた、薄笑いを浮かべながら「世の中のこと、わかってますよ」という姿勢がいやらしく感じられたりもして、続けて見に行く時期と見に行かない時期に分かれる。シニシズムの加減はなかなか難しい。今回の映画は私にとってはちょうどいい塩梅だった。
いたたまれない時間の空白を単に埋めるためだけのような内容のない会話のやりとりが延々続く。反射的な埋め草だけで成立しているような会話である。そのすれ違いの会話が作り出すリズムが笑いになっている。4人の登場人物のあいだには、互いにメッセージを伝え合うことができる言葉はない。しかしそのかみ合わない空虚な言葉のやりとりの向こう側に、彼らが抱えてる曖昧な思い、もどかしさ、不安、傷口は感じ取ることができる。痛々しく、ダメな人たち。でもこんな具合に生きていけたらいいな、とも思う。