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閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

バック・トゥ・バック・シアター『ガネーシャ VS. 第三帝国』

演劇
  • Ganesh Versus the Third Reich / Back to Back Theatre
  • 演出:Bruce Gladwin ブルース・グラドウィン
  • 劇場:池袋 東京芸術劇場 プレイハウス
  • 上演時間:100分
  • 評価:☆☆

 欧米の演劇祭で好評を博した作品。

 モントリオールの演劇祭での上演の劇評を読んで面白そうだと思った。今回のF/Tの公演のなかでは最も期待していた公演だったが、私にとっては大きな期待外れだった。 

 知的障碍者の俳優が何名か出演する。フリークスのような悪趣味きわまりない見世物が見られるのかと、はじまって最初のうちはドキドキしたのだけれど、そうではなかった。舞台全体を覆う大きな透明のカーテンを何枚もつかった舞台美術や最後に障碍者一人が舞台に放置されたままになる終わり方など、面白いなと思う部分はあったけれど、総体的には退屈な作品だった。 

 ガネーシャ神がナチスドイツのヒトラーのもとに卍の奪還に赴く劇中劇のエピソード(卍はインドでは吉祥の印らしい)とその劇中劇を演じるカンパニーのバックステージの内紛の二本立て。劇中劇の部分は、紗幕のカーテンを影絵のようにつかった幻想的な場面となる。 卍をとりもどすために、ガネーシャ神がヒトラー第三帝国に赴くという設定の馬鹿馬鹿しさは素晴らしい。

 劇中劇の部分は見られたけれど、バックステージのパートは退屈で、私は1/3ぐらい寝てしまった。障碍者を意地悪く虐待するなどの悪意に満ちた表現はない。笑いがぬるい。不器用でコミカルな動作ひとつに、ぬるい笑いが沸き起こる。ああ、イヤだ。 いや本当にクソつまらない、と毒づきたくなる。主題的にも技法的にも、批評家たちがつかみやすい仕掛をちりばめたフェスティバル芝居の典型だ。 こうした芝居に過剰にもっともらしい意味づけをしてしまうのは、知的退廃のように私には思われる。終演後は好意的な大きな拍手と歓声。これも気分が悪い。素人の子役や小動物が舞台に出ていて喜んでいるのと本質的にどう異なるのだろう? あー、イヤだ。もちろんこうしたあざとさはショービジネスとしては「あり」だと私は思う。しかしこの演劇の作り手、そしてこの作品に好意的な反応を示した観客たちは、この芝居が含有するこうした大衆性を決して認めようとはしないだろう。