閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

レ・ミゼラブル(2012) LES MISERABLES

http://lesmiserables-movie.jp/

十九世紀前半のパリの民衆たちの姿を物語の背景として描く。その激動の時代のなかで脱獄囚ジャン・バルジャンとその周りの幾人かの人間の生き様にスポットライトをあて、信頼、正義、愛のドラマが展開される。共和主義の理想とキリスト教的な救済、そしてロマン主義の情動が詰め込まれた濃厚な歴史劇だ。私は歌とともに展開のうねりに身を任せ、壮大な十九世紀前半の歴史絵巻の世界に入り込み、甘美で切ない恋のエピソードに陶酔した。清く正しく美しく生きたいものだなと思いつつ。ユゴーがこの作品に「哀れな人々」というタイトルをつけた意味を映画を見ながら考えた。物語の叙事詩的スケール感を損なわない映像のスペクタクルが素晴らしい。バリケードを築き、国王軍隊に対峙する学生たちを見捨てる民衆たちの姿が描かれている場面が胸に迫る。三角関係のなかで失恋する自分をしっかりと見つめるエポニーヌの切なさも。エポニーヌ役のサマンサ・バークスの歌もよかった。