閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ブリキの太鼓

ブリキの太鼓(1979) DIE BLECHTROMMEL

 第一次世界大戦後から第二次世界大戦終了の激動の時代を、自由都市ダンツィヒで生まれ育った少年の視点から描き出す。主人公の少年は周囲の大人の欺瞞を敏感に感じ取り、3歳のときに自らの意志で成長を止めてしまった。戦争の不安と恐怖のなかで混乱し、退廃する大人たちを、ブリキの太鼓を常に携え、身体的な成長を止めたこの少年は観察し、ヒステリー状態の社会へと適応し、生き延びる。少年の身体とブリキの太鼓は、彼の視点から提示される世界のありようの優れた象徴となっている。

 ずっと見損ねていた作品だと思っていたのだけれど、第二次世界大戦中の小人芸人たちの慰問興行の場面や少年の父がナチス党員証のバッジを飲み込んでのたうち回るところを射殺される場面には見た覚えがある。おそらくビデオで大昔に借りてみたのを忘れていたのだ。