- 上映時間:123分
- 製作国:日本
- 初公開年月:2014/03/01
- 監督:三浦大輔
- 製作:間宮登良松、藤本款
- 企画:加藤和夫
- 原作:三浦大輔
- 脚本:三浦大輔
- 撮影:早坂伸
- 美術:露木恵美子
- 編集:堀善介
- キャスティング: おおずさわこ
- 音楽:海田庄吾
- 音楽プロデューサー: 津島玄一
- 照明: 神谷信人
- 録音: 永口靖
- 出演: 池松壮亮、門脇麦、新井浩文、滝藤賢一、三津谷葉子、中村映里子、駒木根隆介、赤澤セリ、柄本時生、信江勇、窪塚洋介、田中哲司
- 映画館:テアトル新宿
- 評価:☆☆☆★
都心のマンションで開催された乱交パーティにやってきた5組の男女の一夜を描く。原作は舞台作品で2005年に新宿のシアタートップスで初演、その後2009年に再演されている。私は両方の公演を見ている。2005年春の公演は私が見た初めてのポツドール作品だった。この公演で三浦大輔は翌年、岸田戯曲賞を受賞した。
映画版では内気で無口な女子大生とニートの二人の関係が強調され、この二人のあいだに、この乱交パーティでの数回のセックスの結果、恋愛感情が芽生えていることが示唆されるのが気に入らない。初演時の舞台を思うと、あまりにも甘くて生ぬるい。映画化でより広い観客の支持を得るためにはこうした生ぬるさが必要なのだろうか?
初演舞台では性欲に繰られてしまう人間の浅ましさ、みっともなさが容赦なく描かれていた。セックスの欲望を抒情で糊塗するような欺瞞を断固ととして拒否し、恋愛の幻想を打ち砕く冷徹さと暴力性が、実に爽快だったのだ。一夜の性の饗宴の空しさが、朝の光によって照らされることで、無残にも暴かれていく。このコントラストが強烈だった。この朝の光の場面は映画版でもよかったのだけれど、登場人物のキャラクターが舞台版に比べるとはるかに弱い。そして女子大生とニート男の恋愛の甘さが、作品の切れ味を鈍くしてしまっていた。舞台版では、女子大生は薄気味悪い恋愛感情を抱くニート男に「お前のちんぽなんか全然よくないんだよっ!もっとやりたいのに余計なこと口つっこむな!」と激しく毒づく場面があった。最後の朝の場面では、乱婚パーティのスタッフがぐずぐずと一夜の夢に浸る客を怒鳴りつけて、追い出す場面があった。こうした暴力性がもたらす緊張感が映画版には欠如していることに不満を感じた。