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閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

七月大歌舞伎 夜の部

一、猿翁十種の内 悪太郎

  • 悪太郎:市川右近
  • 修行者智蓮坊:猿弥
  • 太郎冠者:弘太郎
  • 伯父安木松之丞:亀鶴

二、修禅寺物語

三、天守物語(てんしゅものがたり)

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中車が夜叉王を演じる『修禅寺物語』と玉三郎海老蔵の『天守物語』、新歌舞伎を代表する傑作二作の上演ということで見に行った。

『悪太郎』は大酒飲みの酒乱男の滑稽さを楽しむ陽気な舞踊劇。市川右近の悪太郎、愛嬌があって面白かったのだが後半眠ってしまう。長唄は強烈な誘眠作用がある。

中車が夜叉王を演じる『修禅寺物語』、これは期待して見に行ったのだけれど、台詞のやりとりのリズムが単調な上、暗い舞台だっために、気がつくと眠ってしまっていた。中車はかなり暑苦しいねっとりした演技。香川照之が歌舞伎役者を一生懸命演じているという感じがどうしてもしてしまう。香川照之というキャリアのほうが圧倒的に長く分厚いのだからどうしようもないことだが。幕切れの台詞「娘、顔をみせい」の響きの痛切さ、力強さはさすがといった感じ。

玉三郎海老蔵の『天守物語』。この二人の組合せの『天守物語』を見るのは、5年前の歌舞伎座以来。やはり玉三郎の『天守物語』は素晴らしい。視覚的に美しい緊張感が舞台にあるし、玉三郎の存在は主軸として作品に安定感をもたらしている。ユーモラスな軽さと愛の情念の深さの対比、展開のリズムの心地よさ。そして海老蔵図書之助は文句なしに美しい。終演後、客席に広がる幸福感が心地よかった。