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閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

Lilies - Les Feluettes (1996)

Lilies - Les feluettes (1996)

  • 95 min 
  • 1952: Bishop Bilodeau visits a québécois prison to hear the confession of a boyhood friend jailed for murder 40 years ago. The inmates force the prelate to watch a play depicting what ... See full summary »
  • Director: John Greyson
  • Writers: Michel Marc Bouchard (based upon the play by: "Les Feluettes, ou La Répétition d'un drame romantique"), Michel Marc Bouchard (screenplay)
  • Stars: Ian D. Clark, Marcel Sabourin, Aubert Pallascio
  • 時間:91分
  • 評価:☆☆☆☆

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カナダのケベックの劇作家、ミシェル・マルク・ブシャールの戯曲「やせっぽちあるいはロマンチックなドラマの稽古」を映画化したも。映画の脚本にもブシャールは関わっている。監督のグレイソンは英語圏カナダの監督である。

出演俳優は男性のみ。女性役も男性が演じる。作品は三重の劇中劇構造になっている。まず一番外側の枠、これは1952年の刑務所内の礼拝堂だ。ビロドー司教が受刑者の告解のためにこの刑務所に呼ばれる。告解するのは40年前に司教と同じ学校に通っていた同級生のシモンである。シモンは放火殺人事件の犯人として服役していた。しかしこれはえん罪だった。ビロドーはこの事件に関わりを持っている。

告解のために刑務所にやって来たビロドー司教を、受刑者と刑務官は監禁する。シモンの指示のもと、彼らはビロドー司教に40年前の出来事を再現した演劇作品を上演して見せる。この1912年のケベックの北方の町、ロベールヴァルの物語が第二の枠となる。その作品は十代の若いシモンもビロドーはこの演劇の主要な登場人物だ。40年前の情景と1952年の刑務所の場面が交錯し合う。ビロドーはかつての自分と同級生たちの物語を見せられながら、彼だけが知っている事件の真相の告白を迫られる。

第三の枠はこのローベルヴァルの学校で、シモンと彼の友人、ヴァリエが演じることになっていたダンヌンツィオ『聖セバスチャンの殉教』の一場面だ。弓矢に射貫かれる聖セバスチャンと射手のサヌエは、シモンとヴァリエの関係に重なり合う。

20世紀初頭、北方にある孤立した場所ロベールヴァルと遠く離れた華やかな都、パリの関係、カトリック教会が厳しく社会倫理を監督していた時代における同性愛の問題、美しく若い二人の青年の繊細でロマンチックな愛、その愛から取り残された者の絶望。いくつかの主題が三層構造の物語のなかで複雑に絡まり合い、美しいハーモニーを奏でる。