閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

青年団『さよならだけが人生か』

www.seinendan.org

  • 作・演出:平田オリザ
  • 出演:山内健司 小林 智 太田 宏 石橋亜希子 荻野友里 小林亮子 立蔵葉子 森内美由紀 石松太一 伊藤 毅 井上みなみ 小瀧万梨子 佐藤 滋 前原瑞樹 串尾一輝 藤松祥子 大村わたる 寺田 凜
  • 舞台美術:杉山 至
  • 照明:西本 彩
  • 衣裳:正金 彩
  • 舞台監督:小林朝紀 播間愛子
  • 宣伝美術:工藤規雄+渡辺佳奈子 太田裕子
  • 宣伝写真:佐藤孝仁
  • ロケーション・コーディネーター:渡辺一幸(NEGO-TI)
  • 制作:石川景子 金澤 昭 有上麻衣 太田久美子
  • 劇場:吉祥寺シアター
  • 上演時間:2時間
  • 評価:☆☆☆★

-------------

足場に囲まれた工事現場の休憩所が舞台。工事現場で働く鳶職、建設会社社員、休憩所の掃除婦、そしてその工場現場に遺跡が見つかったため、発掘調査にやってきた学生たちが登場人物。彼らのなかの何人かの別れが描かれる。平田の現代口語演劇スタイルの作品の究極とも言えるようなだらだらとした、とりとめのない会話がシーン毎に交わされる。対話ではなく、駄弁というか。そのめりはりのないゆるい会話が退屈で前半は眠ってしまった。観劇前から疲れていて眠気もあった。こんな状態では観劇どころではなかったなと思ったのだが、後半は目が覚めた。

しかし恋人と別れ留学をする女子学生(藤松祥子)と彼女の恋人との別離をめぐる諍い(それもきわめてありきたりのものなのだが)から目が覚める。藤松祥子がとにかく可愛らしい。そしてこのダラダラの会話のリズムに、ゆったりと乗っかれるようになった。

平田の台詞、劇作的仕掛けの技巧性・作為が過剰すぎるように思ったが、それでも終幕部の処理はやはり見事なものだ。ダラダラとした日常を舞台としたファルスなのだが、深い余韻とともに終わる。この終幕で帳尻を合わせた感じ。平田の劇作の職人芸を堪能できた。