閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

SPAC『病は気から』

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ノゾエ征爾の翻案、演出が秀逸。17世紀フランスの古典喜劇を現代の喜劇とするための様々な細かい工夫がありました。踏み込みの深い大胆な潤色ですが、モリエール喜劇の骨格は揺らいではいません。原作の美点は損なわれていません。
俳優の台詞のやりとりのリズムのよさ、弾けるよ うな動きも楽しい。ドタバタ喜劇だが、メタ演劇構造の仕掛けが効いていて、結末には感動して泣いてしまった。劇中人物であるアルガンと作者のモリエール、そしてそれを演じる阿部さんの姿が三重に重なる。
演出・潤色のアイディアに感嘆したが、俳優たちの演技も素晴らしい。喜劇的な誇張が全然気にならない。痛快。ヒロインのアンジ役の榊原さん、可愛い過ぎて 、登場場面で見ているこっちの身体が痺れる。ケロッグの山口航太との劇中劇中劇のパストラル場面、私はとても好きだ。
役者はほんと、みんなよかった。
もえみちゃんは、映画監督がアフタートークでダメ出ししてたけど、たしかにまだできることがあるように思う。
フランスではモリエールの喜劇は、シェイクスピア劇のように、現代現役の演劇で、あらゆる演出上の試みが行われている。このノゾエ征爾版もフランスでの上演を見てみたい気がする。
とてもいいプロダクションなので、今後再演を期待する。学生にも推薦したいので東京でもまたいつかやって欲しい。