閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ベルヴィル・ランデブー

  • 製作年度:2002年
  • 製作国:フランス/ベルギー/カナダ
  • 上映時間:80分
  • 監督:シルヴァン・ショメ
  • 脚本:シルヴァン・ショメ
  • 音楽:ブノワ・シャレスト
  • 声の出演:ジャン=クロード・ドンダ 、ミシェル・ロバン 、モニカ・ヴィエガ
  • 場所:梅田 テアトル梅田
  • 評価:☆☆☆
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現代はTriplettes de Belleville「ベルビルの三人娘」.ローマ字で「v」の字を「ヴ」と表記するやり方があるが,個人的にはたとえ「ヴ」と表記していても「v」音で発音する日本人は皆無なので,無意味な慣習であると思っている.そもそも原語の綴りがわかっていなければ「ヴ」とは書けないわけだが,実際には発音されるわけでもないのに原綴り「v」を「ヴ」とわざわざ書くのは,小賢しい衒学趣味に思える.というわけで個人的には極力「ヴ」の使用を避けているが,慣用化しているものについてはそちらに従っている.
さてこの映画の邦題「ベルヴィル・ランデブー」は,上に述べた観点から言うと極めて中途半端で「恥ずかしい」タイトル.というのも上記邦題の原綴りはBelleville rendez-vousだからである.「ベルヴィル」とわざわざ「ヴ」の文字を使うなら,「ランデヴ」とすべきだった.この手のはずかしい間違いは大学の先生でもやっている人がけっこういる.最初から「v」も「ブ」と表記しさえすればこんな間違いは避けることができたのに.
ニューヨークを連想させる架空の大都市ベルビルで監禁されている自転車選手を,彼の祖母とこの町のキャバレで歌手をやっている少々グロテスクな三婆が救出する話し.極端にデフォルメされた人物,幻想味豊かな都市の風景など魅力的な造形に引き込まれる.くすんだ色調や照明効果も美しい.音楽もクラシックやジプシー音楽等などをうまく取り入れたセンスを感じさせる選曲.趣味のよい大人向きの渋いアニメ.なるほどこの作品をみると,ディズニーやジブリの配色センス,音楽センスがいかにも商業主義的な子供だましのものに思える.ただし脚本がいまひとつ魅力に乏しい.ナンセンス味のある話だが,展開が平板すぎて少々退屈.