閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ミュージカルにI love You

安倍寧(日之出出版、2006年)
ミュージカルにI Love You―華麗な舞台の表裏
評価:☆☆☆☆

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2000年から2004年にかけてミュージカル雑誌などに掲載された記事をまとめたもの。この著作で著者が紹介する作品のほとんどは僕は実際には見ていない舞台なのだが、作品そのものの解説だけでなく、作品制作に関わる興味深いエピソードをうまく盛り込んで、作品を立体的に提示する著者の筆の巧みさはこちらの鑑賞欲を大いに刺激する。制作者談話などの直接話法の入れ方のうまさ、その分量の適切さ、作品背景の説明の堅実さ、そしてその作品独自の魅力の紹介の的確さ、さらに作品に対する著者の批評的な公平さ、そしてこうした要素を軽やかでのりのよい文体で語られているのだ。あまりに「商業的」な感じがしてなんとなく敬遠していた作品についても、この著作のレビューを読んで関心を持った。ミュージカル版『アイーダ』とか今ブロードウェイで公演中の『メリー・ポピンズ』、『ムーヴィン・アウト』、『ウィキッド』などの作品である。著者がこの本で繰り返し取り上げた『コンタクト』も是非見てみたい作品だ。7月に来日公演がある『ヘアスプレイ』は見るかどうか迷っていたのだが、著者のレビュー記事の熱さで、チケット購入を決めた。