アクターズスタジオ櫻会
- 作:ミシェル・アザマ Michel Azama
- 訳:佐藤康
- 台本・演出:沢田次郎
- 照明:山本良則
- 出演:神林哲哉、枝村みどり、貝塚秀人、若林正
- 時間:70分
- 劇場:中野新橋 アクターズスタジオ櫻会
- 評価:☆☆☆★
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1947年生まれのフランスの現代作家の作品の上演ということに興味をひかれた。この作者の作品はこれが初見となる。
アクターズスタジオ櫻会の公演も今回が初めて。演出家の沢田次郎氏を中心に演劇ワークショップなどを行っている組織なのだろうか。
今日出てきた役者は4名でいずれも知らない役者ばかりだったが、演技はいずれも達者だった。
娼婦とその恋人の初老の男性、その初老の男性の恋人の20前の若い男、そして初老の男性とは対立関係にあるらしい娼婦の中年の客の4人が登場人物だが、明快な筋はないようだ。娼婦に赤ん坊ができたが、その赤ん坊を初老の男性が奪い取り、娼婦ともめている。若い男はこの両者の間で何とか解決策をさがす。最終的には娼婦の「客」らしい恰幅のいい中年男がその赤ん坊を買いとってしまう。
各人の関係性は観客におそらく意図的に説明されていない部分が多くてわかりにくい。力関係は、じゃんけんのように、娼婦は若い男に強く、若い男は初老の恋人に強く、初老の恋人は娼婦について強いといった感じ。娼婦の「客」らしい無名の男の位置づけが結局よくわからなかった。これは短い上演時間にもかかわらず、僕が観劇中の中盤かなりもうろうとしてしまったせいもあるのだが、もともとわかりやすくは書かれていないように思う。
写実的で論理的な展開のある作品ではなく、どちらかというとコトバの詩的イマージュの重なりを味わう作品。各登場人物は「寓意」的な性格づけがされている。
娼婦役の女優、オレンジ色のカーディガンの着こなしを含め、かなり魅力的だった。娼婦であり、コトバは汚いけれど、人間としての品格は維持しているような感じ。他の役者の服装も、日常服ではあるものの、役柄に合わせて細かく配慮されている。
正直、集中力が要され、時折眠りに落ちそうになった芝居ではあったが、役者の演技もしっかりしていたし、演出のコンセプトも明確で、思いの外、質の高い公演だった。