閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

時をかける少女

http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/

僕の年代で『時をかける少女』というと何と言っても大林宣彦監督、原田知世主演の映画ということになる。
今日見たアニメ版は昨夏公開されて評判が良かった作品だが、しっとりとした叙情味に満ちた大林版とは対照的にからっとした陽性の雰囲気の作品だった。ヒロインの女の子と男の二人の三角関係が物語のべースになっているのは大林版でも同じだったように思う。しかし今作の男女関係のわざとらしいまでのさわやかさ、友達感覚には、嘘っぽさを感じて僕は受け入れることができなかった。高校生のあり方についてはあるべき姿を自分が持っていることに気づく。やはりこの年代の男女は、隠そうにも隠しきれない性的なオーラがどんなに気取ったところでじわじわとにじみ出ていなければならないように僕は思うのだが。高校生ぐらいで男女間で爽やかな友達関係というのは存在しうるかもしれないが、それは性的欲求を無理矢理抑えつけた欺瞞の上でしか成り立たないと思う。しかも高校生ぐらいだとその欺瞞をスマートに隠しきることはできないはずだ。笑福亭鶴瓶の歌(?)で「グループ交際、グループ交際、目的はひとつ〜」というのがあったが、まさにそうなのだ。
男子高校生が出てくる恋愛もので、そこにオナニーの雰囲気が全くかき消されているような作品など、僕は全く信頼できない。
というわけでアニメ版『時をかける少女』は僕にとっては大いに不満だった。とにかくディアローグがことごとく不自然であり得ないもののように感じられた。
おそらく高校生当たりの年齢の人間が、理想的な姿として思い描く一つの男女関係を、この作品の雰囲気は伝えているのかもしれない。