閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

木下大サーカス

http://www.kinoshita-circus.co.jp/

  • 会場:立川 特設テント
  • 上演時間:二時間十分(休憩10分含む)
  • 満足度:☆☆☆☆☆
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娘と娘の友達を連れて,立川まで木下大サーカスを見に行った.サーカスを観るのは僕もこれが生まれて初めてだった.以前からサーカスには興味があって一度行ってみたいと思っていた.近年は旧来の古典的なサーカスとは一線を画した斬新な演出を導入したシルク・ド・ソレイユなどのモダン・サーカスが話題になることが多い.このモダン・サーカスもいずれ観てみたいのだけれど,それよりはまずその前に「古典」的形態のサーカスの雰囲気も味わってみたかった.
ようやく長年の願望が叶ったという感じである.

サーカステントに入った時点で感動してしまったのは,それまで記号的表現として自分の中にあったサーカスのイメージがそのままそこにあったからである.テントの収容人数は1000人ぐらいか? 思っていたよりかなり大きい.
春休みとはいえ平日午前となるとがら空きではと思っていたのだけれど,実際は超満員だった.開演30分前に会場につくと,一般自由席には長蛇の列ができていた.この一般席引換招待券はヤフオクに大量に出品されていた.読売新聞社主催公演なのでおそらく販促材料として大量に捲かれていたのではと想像する.僕はヤフオクで一般券引換券を必要分落札していたのだけれど,満員で場合によっては一般席には入場できない可能性があると言われた.それで800円上乗せして特別自由席で観ることにした.円形のステージそばの指定席はすべて売り切れていた.もともと指定席は座席数が少なめなのだ.

期待を裏切ることのない,素晴らしいショーだったので大いに満足する.人間の行う曲芸と動物の芸とピエロの幕間の組合せで,一つの演目は五分程度と短い.それが矢継ぎ早に連続して上演される.極めて密度の高いヴァラエティショーだった.様々なアクロバティック芸を堪能する.ショーの構成は伝統的な枠組みがあるようだが,パリで見たキャバレーのショー構成とコンセプトがよく似ているように思った.幕間のピエロによる観客いじりも楽しい.サーカス・ファンというのも多いのだろうが,客の乗せ方がとても巧妙でスムーズだ.とりの演目は空中ブランコだった.これも生で見るとスリリングで迫力満点で心躍る.

これだけのショーを二時間観て,一番よい席で6500円程度というのはかなり安いように思う.次回観る機会があれば,円形ステージかぶりつきの一番よい位置で観てみたい.

無料観客も多いだろうし,春休みということもあるが,週休一日,一日二回公演の大テントでの公演が超満員であることにも驚く.場所も便利なところとはいえないのに.春休みが終わってしまうと今日みたいな満員は平日には難しくなると思うのだけれど,それでも立川で約二ヶ月のロングラン公演である.かつてに較べると衰退したという話は聞くが,それでもサーカス公演にはやはり根強い人気があるのだろう.