閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

マルコ・ポーロ〜東方見聞録のヒミツ

Shizuoka春の芸術祭2009
http://www.spac.or.jp/09_spring/marcopolo

  • 作・演出:ロビン・ラウゼンダール
  • 出演:台湾偶戯団
  • 上演時間:50分
  • 劇場:東静岡 静岡芸術劇場
  • 評価:☆☆☆☆★
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かなり広い劇場での公演なので、人形劇といっても文楽のような大型の人形劇の公演かと思っていたのだけれど、手袋状の人形を片手の指を使って操作する布袋戲と呼ばれるジャンルだった。舞台は大型の箱状のもので、街頭で演じられるがよりふさわしい指人形芝居かもしれない。人形は小型だけれども、衣装は美しく、その作りは精巧なものだった。そして何よりもそのアクロバティックな動きの切れのよさと変化の多彩さに目を奪われる。
布袋戲自体は台湾の伝統的人形劇のひとつだが、伝統的技芸や様式が継承されているだけでなく、近年は技術面やれパートリーにおいても積極的な革新が行われている分野のようだ。今回の上演作品はオランダ人の芸術監督の作・演出である。京劇や西洋の音楽をふんだんに取り入れた音楽劇だった。布袋戲の高度な技芸には思わず引き込まれてしまう。マルコ・ポーロという素材の選択もいい。東洋的な要素と西洋的な要素が、無理なく自然に、バランスよく交じり合う。素朴でナイーブな恋の物語も布袋戲の雰囲気とよく調和している優れた脚本だった。
座席が後方だったのがちょっと残念だった。人形と舞台がこじんまりしているだけにできれば前のほうの座席で人形の動きをじっくり観察したかった。