閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ベトナム伝統市場人形劇

ゴールデンドラゴン水上人形劇場(ベトナム)
http://ent.pia.jp/pia/date.do?eventCd=0918728&perfCd=008&evDisplayFlg=0

  • 演出:フィン・アン・トゥアン Huynh Anh Tuan
  • 劇場:座・高円寺
  • 上演時間:50分
  • 評価:☆☆☆☆★
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座・高円寺のこども向き公演、「世界をみよう!」の第三弾。僕が見た三つのプログラムなかではこれが一番楽しむことができた。
なんでわざわざ「水上」で人形劇をやるのか不思議だったのだが、もともとは農民たちが豊作などを祈って水田で上演していたものらしい。1000年以上の伝統があるという。長期間の断続があるかもしれないが、今ある世界の伝統芸能のなかでも最長の部類ではないだろうか。

この水上人形劇について僕はまったく知らなかったのだけれど、ハノイホーチミンに常設劇場があるほか、各地方でも盛んに上演されているようだ。ベトナム観光では代表的なエンターテイメントのひとつであり、「ベトナム 水上人形劇」でgoogleで検索するとかなり多くのページがヒットする。
幅7−8メートル、奥行き3−4メートルほどのプールが舞台となり、20センチほどの小型の人形から100センチほどの大型の人形までさまざまな大きさの人形が使われる。にごった水のなからいきなり人形がぱっと現れ出るのが最初は新鮮だ。人形の操作はプールの後ろにあるかなり巨大な寺院のような装置のなかにいる操者が、長い差し金のようなものを使って動かしているらしい。カクカクとしたぎごちない動きなのだけれど、その動き方はとてもユーモラスだ。不気味さと可愛いらしさの両方を備えた人形の造形も面白い。

獅子や竜などが登場する神話や農民の日常生活など題材にした3分ほどの短いエピソードを組み合わせたプログラムとなっていた。ごく簡単で短い台詞やナレーションが入ることもあるが、これはベトナム語なのでわからない。集団での掛け声みたいなものも効果的に使われる。人形は音楽の生演奏にしたがって操作される。音楽は打楽器、擦弦楽器撥弦楽器、そして歌のアンサンブルによるベトナムの民謡だが、この民謡がエキゾチックで美しい。演奏、歌唱のレベルがとても高かった。

この高円寺の子供向き企画、これまで客の入りは今ひとつだったけれど、ベトナム水上人形劇は知る人ぞ知るといった感じだったのか、ほぼ満席で、客席の反応もとてもよかった。
ベトナムに観光旅行に行って、現地の劇場でこんなエキゾチックでしゃれたスペクタクルを見ればそれはとても愉快に違いない。
僕は大満足。娘も楽しんでいたけれど、後半の最後のほうはちょっと眠たくなってしまったようだった。