閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

アジア舞台芸術祭2009

http://www.butai.asia/j/

特色のあるプログラムが並んでいるにもかかわらず、すべて無料公演。となると申し込み大殺到ではないかと思っていたのだけれど、27日金曜夜のプログラムはどれも超満員の賑わいというわけではなかった。いやむしろ「祭」とするにはちょっと寂しかったかも。予約していなくても、当日、ふらっと寄って楽しむことができる。時間が重なって全部のプログラムは見ることができないのではと思っていたのだけれど、金曜日に上演された全プログラムを見ることができた。午後6時から9時過ぎまでの3時間を楽しんで過ごすことができた。亜細亜演芸のフルコースを楽しむ。

ひっそり、こじんまりとした演劇のお祭り。親密でくつろいだ感じが心地いい。
会場は東京芸術劇場内の三カ所だ。アジア料理をテーマに若手の劇作家が書き下ろした短編が上演される小ホール、小ホール前の広場の亜細亜城、そして中ホール。亜細亜城は野外公演なのでチケットがなくても一階から見下ろすことが可能。
まず亜細亜城では台北の世紀当代踊団+矢内原美邦のダンス公演があった。15分ほどのプログラム。3人の若い女性ダンサーが踊る。ツートンカラーのブルゾンが可愛らしい。ダンサーも可愛らしい。運動量の多いダンスで15分間全力疾走するという感じ。最初は見どころがわからなくてぼーっと見ていたけれど、3人娘の活発な動きだけでなんかじんとしてしまう。
二本目は小ホールでアジアンキッチン、デリー編(岩井秀人作、神里雄大演出)を見る。25分程度の作品。亜細亜のエスニック料理が芝居のなかで出てくるというのがルールらしい。芸術劇場近くのインド・ネパール料理屋のオーナーへのインタビューという形式だったが。「えっ?」と腰から力が抜ける脱力笑いの秀作だった。
その次は昨夜のメインディッシュ、ソウル市立劇団による「エブリマン」の公演。エブリマン」はお話がはじまる前の長目の祝祭舞踊劇のところがよかった。「本編」の部分も悪くはないけど、あんまり面白いとは思わなかった。もっと深く、神秘的な芝居を期待していた。あれはあれで悪くはないけど。理想の舞台は頭の中。詳しい感想はまたあらためて書きたい。
それから小ホールにまた移動してアジアンキッチンのマニラ編を見る。ノゾエ征爾演出。在日フィリピン人のおばさん二人のクッキング・ショー。来日当初の思い出などがユーモラスに語られる。ぎごちないやりとりの間が面白い。
締めが亜細亜城でタンロン水上人形劇団。ベトナムの水上人形劇はこの7月に座・高円寺で見て魅了された。今回は25分、小さな池での縮小版。これに人間の役者がからむ。人間役者と人形芝居はあまりうまく融合できていなかったなあというのが正直な印象だ。

いずれにせよ無料で中身のあるフルコース料理を堪能できて大いに満足する。