空中カタカナ団
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- 演出:平林恒茂
- 脚本:平林恒茂、城戸光子
- 照明:富松博幸、横田幸子
- 美術:斎木信太朗
- 音響:伊勢慎寿
- 衣裳:奈須久美子
- 作曲:越部信義
- 演奏:西直子、前島のぞみ、大原賢太郎
- 出演:板倉佳司/榊孝輔/山中敦史/久我茂樹/友池竜/井手泉/白石理康/阿部祥子/佐野珠美/山口詩史/佐藤友香;清水廉(オーカッサン)/山口あゆみ(ニコレット)
- 劇場:目白 アイピット目白
- 上演時間:90分
- 評価:☆☆☆
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オンシアター自由劇場出身の平林恒茂演出の「オーカッサンとニコレット」を見に行った。原作は13世紀に書かれた作者不詳の「歌物語」。韻文の歌のパートと散文の語りのパートが交互に並べられた形式で書かれた作品だ。岩波文庫で川本茂雄氏による典雅な日本語訳が出版されている。私はこの作品の原作も何度も読んだし、川本先生の翻訳も何度も読んだ。中世フランス文学作品のなかで最も好きな作品の一つだ。
- 作者: 川本茂雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1952/02/05
- メディア: 文庫
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もともとはジョングルールと呼ばれる旅芸人が声色を使い分けて複数の登場人物を演じ分けながら、歌い、語った作品だと考えれている。
劇団NLTによる舞台を以前観たことがある。オンシアター自由劇場でもかつて上演されたそうだ。
ギターとキーボードの生演奏によるミュージカル仕立ての芝居だった。作曲は越部信義。役者は生成りの古風な衣裳に道化風メイクでどこか中世の旅芸人の連想させる。最初の合唱がとても素晴らしかったので期待が膨らんだのだけれど、川本訳にあった典雅な繊細さが芝居にはなく、民話風の素朴さばかりが目立つ猥雑でごちゃごちゃしたうるさい芝居になっていた。いかにも「おかしいでしょう、笑わせてあげましょう」といった感じの誇張された喜劇・笑劇芝居が私には全く面白くない。
親しみやすい美しい旋律の曲がいくつかあり、アレンジもよかったけれど、歌の場面になると停滞感が強く、寝不足気味で体調不良の状態だった私はそのたびに眠りに落ちてしまった。
お姫様と王子様が出てくる冒険恋愛物語という枠組みゆえ、ちゃかちゃと喜劇調でやられると学芸会的な安っぽさに陥ってしまう。学芸会と言ってしまうには、役者はしっかり演技していたのだけれど。プロが演じる学芸会芝居というか。
個人的に思い入れのある作品なので自分の頭のなかに漠然とではあるができあがっているイメージとのギャップゆえに、否定的な見方をしてしまったのかもしれない。もっと語り物の特性を取り入れた落ち着いた雰囲気の芝居を何となく思い描いていたのだ。