- 出演:立川真也、藤居克文、高橋徹;井川ちなみ
- 演出:金井圭介
- 映像演出:筒井真佐人
- 照明:葛生英之(日高舞台照明)
- 音響:五十嵐祐介
- 衣裳:梶山知子
- 上演時間:70分
- 劇場:氷川台 Studio P.A.C.
- 評価:☆☆☆☆
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赤、青、黄に髪を染め分けた男性三人組によるミニ・サーカス、くるくるシルクの公演を氷川台に見にいった。小学三年生の子供三人を連れて見に行った。
くるくるシルクは今年で10周年だとのこと。三人の優れたコンビネーションと男性っぽい力技で見せる。パントマイム、ジャグリング、ダンスなどを巧妙に組み合わせたで滑稽なパフォーマンスだ。
面白いという評判はかなり前から聞いていたのだが、初めて見たのは昨年秋の上野公園での大道芸だった。30分ほどのプログラムだった。笑いの演出がふんだんに取り入れられた技のコンビネーションで大きな喝采を浴びていた。私も子供たちも陽気で意外性とスピード感のある彼らの芸がすっかり気に入ってしまった。
今回は室内の劇場で、演出家がついた70分ノンストップの新作公演だった。劇場Studio PACは100人ほどの小さい小屋。舞台の奥行きは5メートルくらいあるが、間口も同じくらいで狭い。観客から見て右手、2/3ぐらいのところに70センチほどの幅の長方形の柱が立っていて、観客席右手に死角を作り、演技上の障害になっている。
2500円の入場料(安いと思う)の分は十分に楽しめた舞台だった。条件の厳しい大道芸であれだけ面白かったのだから、劇場公演ではさらなる面白さ、完成度の高さを期待していた。期待通りの面白さではあったけれど、期待以上ではなかったという感じ。邪魔な柱を床に見立て90度横回転した状態でジュースを飲んだりするなど動作をする(左手のスクリーンには90度回転させた映像が映し出される)映像芸、ク・ナウカ風に語り手と動き手が分離して演じる(語り手の音に合わせて、動き手がパントマイムを演じる)小芝居は、面白かった。特に棒術と拳法家の決闘は笑った。いずれのプログラムもどこかで見たようなアイディアではあるかもしれないけれど、ディテイルの表現の工夫、アレンジの良さで、目新しさを感じる芸になっていた。あとは映像を使って影と人物の動きを分離させるというのもあった。
前半はプログラムのコンビネーションがよく、変化や仕掛けの独創性を楽しむことができたのだけれど、後半はうまく構成しきれなかったように思った。酔っぱらいのダンスは少々冗長だったし、彼らの肉体芸とスピードあるコンビネーションは、黒背景の暗い室内劇場より、野外のステージのほうが映えるように私には感じられた。劇場は天井の高さもそれなりにあるのだけれど、スピード肉体芸が室内では窮屈でダイナミックな魅力に欠けるような気がしたのだ。陽性でからっとしたくるくるシルクの芸風自体、隠微な夜のキャバレーのような雰囲気の中で内にこもるよりもむしろ、野外劇場で太陽に照らされて汗がほとばしるという環境でばーっ発散するほうがマッチするように思えた。せっかく赤、青、黄に染め上げたカラフルな髪の毛も、暗めの照明のなかで生きない。もっともこれは私が先に彼らの大道芸を見ていたからかも知れないど。
若干の不満はあったけれど70分大いに楽しむことができた。連れて行った子供たちは大喜びだった。なぜかポケモンカードを演者にあげていた。