京都芸術センター10周年記念式典
http://www.kac.or.jp/
- 演出:三浦基
- 作曲:中村典子
- 会場:京都芸術センター・講堂
- 時間:100分
- 評価:☆☆☆☆★
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烏丸のほど近くに京都芸術センターは。昭和初期に建てられた古い小学校の建物を改築して作った市営の芸術センターで、京都市の芸術文化活動の核のような役割を果たしているらしい。美術展やアトリエ、ホールのほか、洒落た雰囲気の喫茶店もある。この芸術センターがこの4月で創立10周年を迎えるという。その10周年を記念した式典が行われた。
この10周年式典が「式典」と題された演劇的興行として行われた。演出は地点の三浦基。本物の式典を演劇的メタ式典として提示する試みである。京都市長開式のことば、演劇センター館長挨拶が、それぞれ本人が用意した原稿をもとに、役者がその人物を演じるというかたちで発表される。京都市長や芸術センター館長を、地点の若い役者が演じ、その人物として祝辞を読み上げるのだ。制作室(練習用スタジオみたいなものだと思う)使用者代表(土田英生 MONO)の言葉も、別の役者によって演じられる。こうしたお祝いのことばの披露にはもちろん演出がつけられている。
各15分の4つの祝辞はやはりこの芸術センターと関わりがある演劇人による趣向をこらした四編の一人芝居のかたちで提示された。こうしたパロディ的遊びのなかで観世流能楽師による舞が、式典にふさわしい厳粛とした雰囲気を作り上げる。
実に洒落た趣向に満ちた式典ヴァラエティーショーだった。100分の長丁場であったが退屈しなかった。洗練された遊び心とそれを鷹揚に受け入れる京都市のセンスに感心する。
たまたま人に教えて貰って知った公演(式典)だった。この「式典」は、全国の自治体の文化事業の担当者に見て貰い、自治体が行う文化事業の可能性をつかんで欲しかったように思う。地域の芸術センターのなかで演劇が核としての役割を果たしているといることが、演劇ファンとしてはうれしかった。
継続的な芸術活動を行うための場を、行政の人間と制作者たちが共同して作り上げている雰囲気が伝わってくる式典だった。