閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

四川の善人

劇団渡辺
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  • 原作:ベルトルト・ブレヒト
  • 構成・演出:渡辺亮
  • 美術:渡辺亮
  • 装置:山粼馨
  • 照明:成戸瞬介、梅田大三
  • 音響:山内俊治
  • 出演:大石宣広、蔭山ひさ枝、成戸瞬介、梅田大三、山粼馨
  • 劇場:北池袋 アトリエセンティオ
  • 上演時間:90分
  • 評価:☆☆☆☆
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劇団初見。
原作のページ数を思うとかなり刈り込んで圧縮されているはずだ。しかし原作の核となる部分はきっちりと伝えている的確なテクスト・レジだと思った。黒背景で、段ボールと青ビニール、木製の木枠など、粗大ゴミ置き場からそのまま持ってきたかのような舞台美術だ。客席と舞台の間に通路が設けてあり、その通路を通り客席を横切るかたちで役者たちが入退場する。
段ボールをちぎって作ったような仮面を使い、役者が複数役を演じる。神様役の役者の動きと話し方が面白かった。上下にふわふわと揺れながらぬぼーっと話す。神っぽい。様式的な動きと台詞、仮面の使用などで、原作の寓意性が効果的に強調されている。観客への語り、ト書きの読み上げ、演劇的約束事へのつっこみなどのメタ演劇的要素も適度に導入されていた。女優が大きくて綺麗で達者。裏表男女二役の声色や動作の演じ分けが見事だった。『四川の善人』は『セツアンの善人』の題でよく知られている。中国の四川でありながら、「人間が搾取を行う全ての場所の寓意」なのだそうだ。演劇的仕掛けが効果的に使われた名作だ。人形劇にも合いそうな感じがする。

面白い舞台だったけれど、照明が始終暗いのがつらかった。もともと観劇中によく寝るほうなのだけれど、今日も暗い照明ゆえに何度も眠りの闇に引きずり込まれそうになった。ぐーっと入り込みそうになって、はっと意識を取り戻す。照明や芝居が原因ではなくて、私自身の体調(あるいは体質?)の問題かもしれないけれど。昼飯後の午後1時から3時、夕食前の午後7時から8時は睡魔の時間帯だ。 これを乗り切ると何とかなるのだけれど。