- 作:テネシー・ウィリアムズ
- 翻訳:常田景子
- 演出:松本祐子
- 美術:松井るみ
- 照明:沢田祐二
- 音響:高橋巌
- 衣裳:前田文子
- 出演:寺島しのぶ 北村有起哉 銀粉蝶 三上市朗 広岡由里子 市川 勇 頼経明子 三木敏彦 木場勝己
- 上演時間:2時間45分(休憩15分)
- 劇場:新国立劇場
- 評価:☆☆☆☆
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有名な作品だが、これまで舞台で見たことも、戯曲を読んだこともなかった。映画も見ていない。出演が寺島しのぶ、北村有起哉、銀粉蝶、木場勝己と個性的でかつ巧い役者揃い。役者の技量が前面に出た芝居だった。銀粉蝶のパワフルな演技は強烈だ。寺島しのぶもエキセントリックな人物の演技がさまになる。イザベル・ユペールみたいな女優になるのかな。
さすがにこれだけ巧い役者が揃ってテネシー・ウィリアムズをやるとつまらない舞台にはならない。休憩15分込みで3時間弱の舞台だったが、役者の熱演に引き込まれ退屈することはなかった。
演出は文学座の松本佑子。手堅く原作の世界を描き出していた。子供の芝居の演出がいい。名優たちの芝居のなかで子役の芝居が浮き上がってしまうようなところはなかった。
見応えのある舞台であり観劇の満足感は得ることができたが新味は乏しい。演出は堅実ではあるが冒険に乏しく文学座の番外公演みたいである。このシリーズは新劇を見直すのがテーマとはいえ、新国立の演目、こんなに保守的でいいのかなあと思う。ちょうどF/Tを今やっているから特にそう感じられるのかもしれないが、今年の新国の上演演目は演劇の世界を積極的に拡張するという意欲の感じられないラインナップだ。新国立にはクオリティが高いだけでなく、日本の演劇シーンを引っ張るような先鋭的、個性的な作品も期待したい。紀伊國屋ホールでもやっていそうな芝居ばかり上演してもなあ、という感じがする。