閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ピン・ポン

  • 構成・演出:佐藤信
  • 構成・美術:tupera tupera
  • 照明:横原由祐
  • 音響:島猛
  • 衣裳:STORE
  • 出演:竹屋啓子、久保恒雄、光田圭亮/磯田収(音楽演奏)
  • 上演時間:45分
  • 劇場:座・高円寺
  • 評価:☆☆☆
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座・高円寺の子供向け企画、「あしたの劇場 世界を見よう」のなかの一つ。タイトルの通り大量のピンポン球が使用される舞台だ。カラフルなピンポン球が大量に転がる様子が写っているチラシ写真を見て面白そうだなと思った。台詞のない芝居だった。

登場人物は朱いドレスを着た女性ダンサーが一名(ピーポーさん)と黒服の男優2名(それぞれムチャくん、クチャくんという名前らしい)、そしてギターやパーカッションによる即興風の演奏を舞台上で行う楽師が一名。物語ははっきりしない。黒背景の黒舞台で、ブラックライトなどを使った様々な視覚的表現でピンポン球が作り出す遊戯的で幻想的な場面を楽しむ芝居だった。

それなりに面白くはあったけれど、役者の演技(特に喜劇的な動き)、音楽の選曲とその使われ方など子供向きの工夫を強調した幻想芝居で、ありがちなパターンのいささか類型的な作品に思えた。今日は11歳の娘と5歳の息子と一緒に見た。子供たちは退屈せずに楽しんで見ていたようだ。

「子供向き」芝居ということで子供に目線を合わせた表現を作ることは重要ではあるけれど、この「子供向き」の縛りが表現の類型化につながっているような気がして面白くない。作り手の「子供向き芝居ってのはこんなもの」という考えが透けて見えるような気がした。「子供向き」の芝居だからこそ、逆にこの縛りを利用して、より自由で奔放な表現形式を私は期待したい。「ピン・ポン」自体はつまらない芝居ではなかったけれど、佐藤信が敢えて子供向き芝居を作るという点から見ると物足りない。いかにも佐藤信が作りそうな子供向け芝居だなという気もしたけれど。