閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

柳家喬太郎ほか@新文芸座落語会

  • 評価:☆☆☆☆★
                    • -

柳家さん喬の弟子三人による落語会を池袋、新文芸座に聞きに行った。
人気落語家の柳家喬太郎とその弟弟子、柳家喬之助と柳亭左龍。最初は三人による鼎談のはずだったのだが、喬太郎が5分ほど遅刻。喬之助と左龍が二人で喬太郎についての話を始めようとすると、会場客席から喬太郎が登場しそのまま舞台に上がり、普段着でトークを行った。左龍がアメリカのヤバイ場所で落語を教えに行った話を中心に、雑談が膨らんだ。この鼎談は何度か爆笑。

鼎談の後、喬之助と左龍が一席ずつ。しかしマクラが終わり、噺が始まると急速に睡魔が襲ってきて二人とも噺の部分はほとんど聞いていなかった。中入りになってもまだ頭がぼんやりしている。今日は寝不足で噺は結局頭に入らないかなと思いながら、喬太郎の噺を聞いた。まくらでしっかり笑わせて貰い、噺に入った。「双蝶々」という性根の腐った小悪党が何の反省もなく悪事を重ねていく話だった。近松の「油地獄」の与兵衛を思わせる男である。全編ではなく途中の丁稚仲間殺害の場面までが語られた。シリアスで笑いのない話である。語り口の巧妙さに引き込まれてしまい、眠気を忘れてしまった。暗示にかかったように話のなかに入り込んでしまった。すーっと会場の空気が冷えたように感じられた。中入り前にやった弟弟子、喬之助と左龍も別にしっかり語っていたように思うのに、何が違うのだろう?喬太郎の語りは演劇的情景を浮かび上がらせる。丁稚仲間殺害の場では、場内の照明がちょっと暗くなったような気がした。